FM 今週のポイント(7月19日)

2016/07/19 <>

*日経平均株価が一時、6月10 日以来の16500 円を回復しました。参院選で自公与党が勝利したことを受けて大幅な円安修正が実現(一時、106 円台)、ショートカバーラリーが展開されました(5日続伸)。参院選で与党が勝利したことにより安倍政権の政治基盤が強化され、強力な政策発動が可能になるとの読みです。マーケットが期待している政策は、ズバリ、「ヘリコプターマネー」です。そもそも「ヘリコプターマネー」とは何か?⇒言葉自体は1969 年にミルトン・フリードマンが生み出したものと言われています。定義は広く、あいまいな部分も多くありますが、マーケットで考えられているヘリマネは財政ファイナンスです。つまり財政出動の財源として国債を増発して日本銀行に直接引き受けさせる政策です。しかし、財政規律、インフレ抑制の観点から財政法5条で日銀による国債引き受けは明確に禁じられているはずです⇒マーケットは何を期待しているのでしょうか?。現状において日銀は年間80 兆円の国債を市中から吸い上げています⇒国債を直接引き受けているわけではありませんが、ワンクッションをおいて財政ファイナンスをしているようなものです。政府も日銀も、これから「ヘリコプターマネー」政策を行うとは絶対にアナウンスしません。つまり政府は独自に従来通り財政出動を行い(国債増発で賄う)、日銀は粛々と量的金融緩和を継続することになります(7月末の金融政策決定会合で国債買い入れ額の拡大を決定?)。マーケットは国債増発を伴う財政出動(真水で10 兆円以上)と追加緩和(国債買い入れ増額)のセットをヘリコプターマネーと認識するものと思われます。「世界初のヘリマネ政策発動」、「米国が日本でヘリマネの実験(13 日にバーナンキ前FRB 議長が来日して安倍首相、黒田総裁と会談)」、「米国が若干の円安を容認」、「建設国債で中央リニア前倒し」等のポジティブなニュースフローを期待しているようです。ただし、「ヘリコプターマネー」は劇薬です⇒バーナンキ前FRB 議長がブログで指摘しているように「中央銀行の独立性や財政規律の喪失」という副作用が大きいことは政府・日銀もしっかりと認識しているものと思われます。また、2020 年のプライマリーバランス黒字化の看板を下ろさなければなりません(建設国債は含めないという奇策もあるが)。現状の国内株式マーケットは「ヘリコプターマネー」に期待しすぎているようです。月末の日銀金融政策決定会合後の失望を想定しておくべきです。

*先週は任天堂株が急騰しました。スマホアプリ『Pokémon GO』(位置情報を活用することにより、現実世界そのものを舞台として、 ポケモンを捕まえたり、交換したり、バトルしたりするといった体験をすることのできる ゲーム)が米国、ニュージーランド等で大ヒットしていることを背景に(日本での配信も7月中?)任天堂株は先週1週間で70%以上の上昇となりました。LINEの上場とも重なり、2銘柄が資金を吸収、結果的に新興市場株を中心とした中小型株が大きく売られる展開となりました。押し目を形成中の好業績新興市場株は投資の好機と考えています。

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