FM 今週のポイント(6月27日)
*注目を集めた英国のEU離脱の是非を問う国民投票は51.9%対48.1%で離脱派が勝利をおさめました。この結果を受けてキャメロン首相は、速やかにEU離脱の手続き(EUへの通知)を開始する模様です(24 日、選挙結果判明後にキャメロン首相は辞任を示唆:ジョンソン前ロンドン市長やマイケル・ゴーブ司法相など保守党内の離脱派に首相が交代する可能性も)⇒(まずは欧州理事会にEU脱退の意思を正式表明することからプロセスが開始される(EU離脱のプロセスはリスボン条約50 条に基づいて行われる)。続いて、離脱交渉の方針を、英国を除く欧州理事会の総意で決定し、欧州委員会が交渉、最終的な離脱の段取りを決定する。最終的な離脱の取り決め(脱退協定)は欧州議会の承認を経て、欧州理事会での最終合意が必要となる。この合意に至る期限は2年間とされ、最短でも英国のEU離脱は2018 年央以降となることが予想される)⇒実際の離脱には時間がかかります(ただしキャメロン首相率いる残留派は、離脱が決定した際にどのような流れで離脱の手続きを進めるのかに関しての言及は避けている。またリスボン条約50 条は一度告知したあとの撤回は不可能なため、速やかに離脱手続きを進めることを懐疑的に見る向きも多い。さらに、今回の国民投票に関する法令(European Union Referendum Act2015)では、投票結果に法的な拘束力がない⇒国民投票で離脱が選択されたとしてもリスボン条約50条を行使してEUを離脱する必要がない⇒僅差で残留派が敗北した場合、投票率の低さなどを理由に50 条行使までの時間を引き延ばす、もしくは再度国民投票を行い国民の真意を問うことも可能となっている)。
*英国がEUを離脱しても英国と諸外国の経済関係が直ちに変化するわけではありません(長期的な影響についてはEUとの交渉次第)。しかし、マーケットは将来の不確実性をリスク・オフという形で瞬時に織り込みます。24 日の東京株式市場で日経平均株価は急反落し、前日比1286 円33 銭(7.92%)安の1万4952 円02 銭で終了し、2014 年10 月21 日以来およそ1年8ヶ月ぶりの安値を付けました(下げ幅は2000 年4月17 日以来、約16 年2ヶ月ぶりの大きさ:歴代8番目)。円相場の急伸(一時は1ドル=99 円近辺、1ユーロ=109 円台まで円高が進行した)を受けてリスク・オフが加速しました。先週来、マーケットでは英国の離脱が決定した場合(あくまでも投票ベース)、ドル円相場は100 円割れ、日経平均株価は15000 円割れとの想定が多かったと思われます。従って、イベント・テールリスク実現による下落幅としては達成感があり、今後の離脱プロセスに不透明感があったとしても、離脱自体では世界経済のファンダメンタルズに大きな悪影響を与えないと思われ、今週以降、大きな下落トレンド発生を想定する必要は無いものと思われます。しかし政治的な余波は大きく、英国内ではスコットランド独立や北アイルランド問題再燃が懸念されます。また、他のEU加盟国(離脱予備軍)への影響(先ずは26 日のスペイン総選挙が注目)やEUの政治体制の持続可能性が疑問視される点から、中長期的には、英国と欧州の政治リスクには注意が必要です。
*円安トレンド復帰は厳しく、当面は日経平均株価15000 円~16000 円のレンジ相場と見ています(一時的に14500 円レベルまでの下落は有り得る)。従って、大型バリューのリターンリバーサルは難しく、従来通りの内需・中小型・グロース優位の展開が続くものと思われます。24 日の東証マザーズ指数が8.53%安に留まったことは注目点です(一時、15%弱下落)。
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