FM 今月のポイント(2016年5月)

2016/05/02 <>

*まさかの日銀のゼロ回答に4月末の日経平均株価は急落しました。決定会合の結果発表直前まで何らかの追加緩和期待が濃厚で高値を付けた時刻は11:03(17572 円)でした。昼休み中に結果が公表され後場から一気に急落、ドル円相場も108 円台を付けたこともあり、ほとんど戻しも無く引けにかけて断続的に失望売り(再度の新規売りも多い)に押され、大引けは624円安、16600 円台の終了となりました。4月19 日以降、複数のニュースソースがリーク情報的(日銀筋or 政府筋)に追加緩和情報を流したことから期待or 妄想(売り方にとっては不安)が高まっていたものと思われます(ETF 倍額どころか10 兆円まで拡大するという見方も一部ではあった)。しかし、追加緩和期待で上昇した銘柄は2月の急落とその後の回復過程で大きく出遅れていたバリュー株が多く、先週来の局面で新規買いが多かったとは思えません。従って、月末の急落が連休明けまで尾を引くとは想定しません。通常であれば、日経平均株価の25 日移動平均線である16600 円レベルを大きく下回る水準は売られ過ぎの可能性が高いと思われます。しかし例年、連休中の円高進行が気になります⇒今年もFOMC の声明文を受けて6月の利上げ確率が20%に低下したこともあり、連休明けは一時的に円高進行(105 円レベル)による株安局面となる可能性があります。ただし、5月末の伊勢志摩サミット前に政府の景気対策が出揃うとの思惑(日銀の追加緩和を妄想するレベル)があり、あくまで大きな円高進行は一時的に留まるものと思われます(16000 円割れの水準はエントリーすべき)。

*よくよく考えると、今回の日銀ゼロ回答はマーケットにとっても結果オーライだったのかもしれません。例えばETF 倍額の6兆円購入、日銀貸し出し金利にマイナス金利を導入したとしても、期待感強めで織り込まれていたため株高、円安への反応は限界的であったと思われます。引けまで持てば良いほうで、反落(株安、円高)していた可能性もあると考えられます。昨年12 月、今年1月に続いて今回も反落となった場合、日銀の緩和効果は限りなくゼロ(マイナスかもしれない)に近くなることになり、マーケットの信任は地に落ちます。やはり、追加緩和はいつかあるかもしれない淡い期待感が持続していることが良いのかもしれません。

*連休明けの国内株式市場はグロース優位の展開に逆戻りすると思われます。背景は円高傾向とガイダンスの弱さです。実際に自分の力で好業績をたたき出せない銘柄に新規の資金は向かいません(例えば為替頼みの増益銘柄等は敬遠される:外部環境依存はダメ)⇒どうしても既に評価されているグロース系の銘柄がさらに評価される可能性が高くなります(28 日はTOPIXグロースが2.72%下落に対してTOPIX バリューは3.63%下落している)。また、再度、新興市場株を含めた小型株市場が盛り上がる可能性があります。東洋経済の集計によると2017 年3月期に最高益を更新すると予想される企業は455 社ありますが、うち258 社が時価総額1000億円未満の企業です(時価総額5000 億円以上の企業で最高益を更新する企業は76 社に過ぎない)。期初のガイダンスが弱い場合は年度を通じて業績選別が厳しい年になります⇒グロース系、中小型株優位な展開が続くものと思われます。

 

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