FM 今週のポイント(8月24日)
*21 日の米国株式市場は大幅続落となりました。NYダウ工業株30 種平均株価は530 ドル安と2011 年8月以来の下落幅を記録しました。シカゴ市場の日経平均先物価格は19000 円台を割り込んでおり、週明けの東京株式市場は弱気一色で始まりそうです(先週も日経平均株価の下げ幅は1083 円と今年最大になった)。突然の波乱は中国の景況感悪化が原因とされています。中国は相次ぐ利下げに続いて11 日から3日間で人民元取引の基準レートを4.5%引き下げました。今後の本格的な景気対策、追加金融緩和の導線になるとの期待感もありますが、足元の景況感下振れ懸念が顕在化した格好です。21 日の波乱要因も8月中国製造業PMI が47.1 と6年5ヶ月振りの低水準に陥ったことにあります。上海総合指数の先週の下落率は11.5%となり6月末から7月初めにかけての12.1%安に匹敵する状況です(中国政府の株価テコ入れ策は水泡に帰した?)。中国等の新興国景況感下振れ懸念を映して原油価格も低迷を続けています(21 日、WTI 先物価格は一時、39.86 ドルを示現、6年5ヶ月振りの安値を記録)。じわじわと世界的な景況感減速リスクが投資家心理を追い込んでいます。
*中国に振り回される展開は表面的なもので、今回の株安の根源は米国にあると思われます。世界が注視するFRB の利上げ転換です。利上げによるリスクオフではなく9月に利上げが出来ない状況を懸念しているものと思われます。FF金利先物からは9月の利上げ可能性は28%に低下しました(21 日時点、2週間前は50%を超えていた)。中国景況感下振れ懸念、原油等の資源価格の低迷、ドル高による米国製造業の不振が利上げ出来ない理由となっています。過去においては米国の利上げ転換が新興国等からの資金引き揚げにつながり新興国を中心として通貨、株式の波乱を招いたことは確かです。今回も米国の利上げをきっかけにリスク資産の一段の下落を促すとの見方もあります→中国から資金が引き揚げられ、資源価格に連動する理財商品等のデフォルトが一気に表面化し、ただでさえ下振れ懸念が強い中国経済を奈落の底に引き落とすとの弱気派のコメントもあります。しかし、今回の局面は従来と違い断続的な利上げを想定する必要は無いと思います。年内1回、次の利上げは来年の中盤以降、相当先の話です。また、前回の利上げ時は新興国ブームの後であり、過剰流動性の少なからずが新興国に流れ込んでいました→米利上げによるマネーの逆流が大きかったはずです。今回は新興国に資金流入はしていません。また、資源価格等の下落は昨年の6月から続いている現象であり、現在、最終局面を迎えていると言っても良いと思います。イエレン議長が年内の利上げを示唆してから3ヶ月以上経過していることもあり、米国の利上げ自体はマーケットに十分織り込まれています。従って、米国利上げ=米国景況感の強さ=世界経済のアンカーという安心感がリスクマーケットを支えることになるわけです。先週以降の利上げ確率の後退がリスクマーケットにネガティブに作用しています。
*国内株式市場のポイントは19000 円割れの水準での押し目買い意欲です。年初からの日本株先高期待が継続するのか、世界的なリスクオフの波に飲み込まれて先高期待が萎み、押し目買い意欲が減退してしまうのか?→週初から目を凝らす必要があります。経験則では空売り比率が38%水準では底打ち反転するタイミングです。そして、世界的な株高のフレームワーク、つまり、過剰流動性拡大と米国景況感の安定(先週来の波乱状況でも米国景況感の下振れは確認できていない)は崩れていません。中国マーケットの波乱は世界的な過剰流動性を一段と拡大させる要因と考えます。
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