FM 今週のポイント(7月21日)
*あっと言う間にもとの水準に戻りました(7月3日~10 日に日経平均株価は760 円下落、10 日~17 日に871 円上昇)。原動力は個人投資家の買い意欲です(7月第2週に個人投資家は現物+先物で6750 億円買い越した。ちなみに外国人投資家は15895 億円の売り越し)。待機資金12 兆円(MRF)の面目躍如です。GPIF も10 日に公表した業務概況書から推定すると2兆8000 億円の日本株買い余力を残しています(3月末の日本株比率22%、6月末推定23.1%)。GPIF に追随する6共済、郵貯・簡保を合わせると公的資金、準公的資金合計で5兆円超が想定されます。日銀のETF 買い余力も1兆2000 億円あります。下値の硬さは何でも有りの株価対策で支える上海総合指数を上回るかもしれません。
*ギリシャ等のイベントリスク通過後のポイントは日米の企業業績動向です。先行する米企業業績は事前の想定が低いこともあり現状のところ株価上昇につながっています。週明けのNY株式市場はダウ工業株30 種平均株価が18100 ドル台をキープ、ナスダック総合指数は3日続伸、最高値を更新しています。今週から国内企業の業績発表が始まりますが、全体感としては好業績を織り込んでいると思われます。ただし、個々の銘柄においては相当程度のアップ・ダウンが期待できると思われます(アクティブ投資家の本領を発揮できる)。また、今後を占う上での注目ポイントは北米における自動車市場の先行き見込み(トヨタのガイダンス)、アップル関連企業のフォーキャスト情報(村田製作所等)、中国関連企業の中国景況感先行き見通し(新日鉄住金、日産自動車、コマツ製作所、安川電機等)など、ファンドマネージャーとして見極める事項がたくさんあり忙しい日々になりそうです。先週の戻り相場でも内需ディフェンシブセクターの上昇が目立つ反面、景況感敏感株(所謂ベータ銘柄)の戻りの鈍さが際立ちました。依然としてパッシブ全盛、アクティブ投資家にとって不愉快な状況が続いています。ただし、四半期決算を通過する毎に業績相場色が強まり、秋以降はアクティブ>パッシブな状況になるものと考えています。このシナリオのポイントは米国の利上げにあります⇒9月に利上げができるのであれば8月前半から相場の性格が変化すると想定しています(過剰流動性相場=債券代替投資=パッシブ⇒業績相場=純株式投資=アクティブ)。
*6月1日からコーポレートガバナンス・コードの適用が始まり、海外投資家を中心に日本企業のガバナンス改善に対する期待が一層強まっているように感じられます。コーポレートガバナンス・コードでは(1)収益性に関する目標の設定、(2)独立社外取締役の拡大と権限強化、(3)政策保有株の縮小、が求められており、企業のガバナンス改善を促すことに資すると考えられています。そのような折、東芝の不適切会計問題は日本のマーケットのベースを揺るがすことになります。もちろん東芝問題は個の話で国内大手企業が同様の体質を有しているとは考えていませんが、これを機に日本企業を見る目は一段と厳しくなる可能性があります(特に外国人投資家)。ガバナンスに関しては定量的な数値も重要ですが、企業文化・体質が本当に大切です。運用担当者として企業の本質を見極めることの重要さを痛切に再認識した事例です。
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