FM 今週のポイント(6月22日)

2015/06/22 <>

*先週は日経平均株価が一時2万円の大台を割り込む波乱がありました。FOMC を通過したものの依然として米金融政策の方向性に確信を持てないこととギリシャ情勢の一段の緊迫化が背景です。FOMC 声明と同時に公表されたドットチャート(FOMC 参加メンバーの政策金利予測)に関心が集まりました。ドットチャートからはFOMC 参加メンバーのうち年内の利上げ回数を1、2、3回と予想した理事が5人ずつ居たことがわかります。そのうち年内1回と予想した理事が3月時点の1人から5人に増えました→市場では利上げ観測の先送りが意識されました(15 年末の0.625%は3月時点と変化していない)。ただし、16 年末のFOMC 予測は1.625%となり、市場予想の1.1%を0.5%上回っています(17 年末においては市場予想との乖離幅をさらに広げる)。ドットチャートを見る限り、FRB には利上げに積極的なメンバーが少なくないことがわかります。一方、マーケットはインフレ率(PCE コアデフレータ等)が低い水準であること、表面的な雇用状況は回復しているものの、依然として労働の質は高まっていない可能性が高いこと(平均時給の伸びが低い:5月は前年同月比2.3%:リーマンショック前は同3.2%程度)から利上げのテンポは従来に比べて緩慢にならざるを得ないと考えています(ギリシャ問題も利上げペースを遅らせる要因)→9月に利上げが開始されたとしても年内0.25%止りの可能性が高いと考えている市場参加者が多くなっています。世界的な金利の低下、株価の上昇が継続するにつれFRB とマーケットの齟齬が大きくなってきた様です。マーケット自身も、ギャップの拡大に敏感になり始め、様子見姿勢、調整含みの展開が続いています。

*マーケットの方向性を鈍らせているもう一つの要因であるギリシャ情勢をどの様に見れば良いでしょうか?→18 日のユーロ圏財務相会合では各国財務相らがギリシャに改めて年金削減などの財政改革を求めた模様ですが、経済立て直しのため「反緊縮」を掲げているギリシャが応諾するはずがありません→全くの水掛け論に終始しました。ギリシャは30 日にIMF へ約15 億ユーロの支払いを控えており、未払となった場合、7月から即、デフォルト状態になる懸念があります。この危機的状況に対応するために22 日にブリュッセルで緊急ユーロ圏首脳会議が開催されますが、事態の打開は微妙なところでしょう。ギリシャのデフォルトは時間の問題かもしれません。ただし、デフォルト自体は経済的にもマーケット的にもほぼ織り込み済みだと思われます。問題はギリシャのEU、ユーロ圏からの離脱です→ギリシャのユーロ離脱はユーロ高に繋がり、急激なアンワインドを引き起こしかねません。また、ギリシャのロシア接近はEUの地政学的リスクを一気に高めることになります(ギリシャがEUと袂を分かち、ロシアへ接近した場合、ロシア黒海艦隊が地中海へ自由に遊弋することになる)。ドイツの経済的利益、EUの政治的、地政学的背景を考えるとギリシャのEU、ユーロ圏離脱の可能性は極めて低いものと思われます。ギリシャデフォルトはマーケットの一時的混乱に繋がる可能性はありますが、現状の世界的な株高のフレームワークを覆すことにはならないと考えます→満を持した長期投資家の好機となるものと思います。

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