FM 今週のポイント(2月9日)

2015/02/09 <>

*決算発表がピークを迎えています。既に発表された3Q業績は全体感では事前想定通りの好決算と考えて良いと思います→想定通りでサプライズ感が無いため市場全体の方向感を決定する要因にはなっていません。しかし、個別銘柄においては大きな価格変動要因となっています。先週、大きく株価が変動した銘柄の代表格に日立とソニーがあります。日立の4-12決算は大幅増益、通期見込みも過去最高益ですが、通期上方修正が無かったことが大幅下落に繋がりました(一時、11%下落)。逆にソニーは今期の営業損益の見込みを400億円の赤字から200億円の黒字に修正して、一時ストップ高まで買われました。表面的には業績を反映した相場状況になっているとも考えられますが、いささか過剰反応と言えます。日立は世界的な社会インフラ整備に軸足を置く企業で米GEと独シーメンスとともにアジアを中心とするインフラ整備加速の恩恵を長期的に享受できる企業です。四半期決算の巧拙を材料として10%以上も時価総額を減価させることはナンセンスです。またリストラの進展を評価されたソニーの業績内容を吟味すれば、為替前提を変えただけで増益要因が説明できます→ストップ高まで買う必要が考えられません。

*全体相場の膠着感が個別銘柄の大きな価格変動に繋がっていると考えられます。市場全体に方向感が無い場合、個別銘柄のボラティリティーに収益機会を求めることになります。個人投資家を中心とする相場状況ならば、大型株を敬遠して新興株を中心とする中小型株にシフトすれば良いのですが、ヘッジファンド等の海外投資家は投下金額が大きく大型株を動かす他ありません。先週後半は売買代金等が今年の最高水準となりマーケット全体が盛り上がっているように見えましたが、実際には市場参加者は乏しく、ヘッジファンド等の業績発表を活用した機械的な売買(事前想定に達しない、あるいは上方修正が無かった銘柄を売却、事前想定を上回った、あるいは上方修正した銘柄を買い上がる)が活発だっただけです。さらにヘッジファンドの決算に絡む反対売買も重なり(結果的に今まで上昇していた銘柄が利益 確定され、下落していた銘柄が買い戻しで上昇することになる)、市場全体が一見、盛り上がっているように見えました。結果的に業績と比較して違和感のある価格変動を強いられた銘柄が多かったものと思われます。

*さて、肝心の全体相場の方向性ですが、目先は残念ながら膠着感の強い相場状況が続く可能性が高いと思われます。先週末に注目された1月の米雇用統計が発表されています。非農業部門雇用者数増加数は25万7千人となり事前予想の23万人を大きく上回りました。同時に昨年11月、12月の数字も大幅に上方修正され米雇用状況の改善が示されました。米10年債利回りは1.961%まで上昇、ドル円相場も119円台まで円安ドル高が進んでいます。一方でNYダウは60ドルの下落となり早期の利上げが意識された格好です。久々の119円台までの円安の進行で、外需主力大型株主導で日経平均株価が18000円水準に到達する可能性は大いにあると思われます。ただし、昨年来の推移を考えると雇用統計後、月半ばまでは世界的に株価の調整場面となっており今回も予断を許しません。早期の利上げ観測にギリシャ情勢の悪化、原油価格の再下落等が重なると(月半ばまではヘッジファンド等の解約に絡む売買も活発化)まだまだ危うい相場状況と言えます。

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