FM 今週のポイント(1 月13 日)

2015/01/13 <>

*昨年同様、今年も波乱の幕開けとなりました。日経平均先物は夜間取引で一時、16500円台まで下落、昨年の高値レベル18000円から8%も下落しました。世界的にリスクオフムードになったことが下落を強めた理由ですが、きっかけは原油安とユーロ不安です。ロシアの石油生産量がソ連崩壊後の最高水準になったこと、イランが高水準の原油輸出計画を立てていること、サウジが米欧向け原油価格を引き下げたこと等が重なりWTI先物は一時47ドル台まで下落しました。また、25日の総選挙まで予断を許さないギリシャ情勢に関してはドイツの有力誌がギリシャのユーロ圏からの離脱をドイツが容認するとの説を掲載、ユーロ・ドル相場が1.18まで下落、9年ぶりの安値圏を示現しました。VIX指数が20レベルまで上昇、米10年債利回りは2%を下回る水準まで低下してリスクオフの度合いを強めました。

*きっかけは原油安とユーロ不安でしたが、背景には世界景況感の減速懸念があります。2015年の世界成長率予想は昨年の5月に3.1%でしたが、その後一貫して下方修正され続け、直近では2.7%まで低下しています。原油価格の下落も昨年の6月頃から始まっていますが、CRB先物指数も同時期から下落を続け、原油価格同様に直近で安値レベルを示現しています。最近話題のユーロ・ドル相場も世界景況感の減速と同期していて興味深い状況です。世界景況感の減速が原油等資源価格、あるいはもっと広範にCRB指数まで下落させているのはよく理解できる現象ですが、それでは何故、世界的に株価が好調なのか?→NY株式は昨年末には18000ドルを突破、過去最高水準にあり、MSCI世界株価指数も高値水準を維持しています(原油、CRB指数とのデカップリングが大きくなっている)。その理由は、米国経済の堅調さが世界景況感を支えていること(米国株価が世界株価を支えている)、そして過剰流動性拡大モメンタムが維持されていることです。この2つの要因によりリスク資産の全面的下落が回避されているものと思われます。ところが年末に発表された米国ISM製造業景況感指数が大幅に低下して頼みの綱の米国景況感に不安が生じたこと、ユーロ安、円安の進行により直近の過剰流動性モメンタムが低下したこと(ドルベースの日米欧中央銀行資産残高が減少)から世界的な株価波乱が生じたものと考えられます。

*従って、今後の世界株価の行方を見極めるポイントは、米国景況感と過剰流動性モメンタムです。先週末には注目された12月米国雇用統計が発表されています。非農業部門雇用者数増加数は25万2千人と予想の24万人と大差なく波乱要因とはならないと思われましたが、平均時給が前月と比べて0.2%減少の24ドル57セントとなったことが嫌気されダウ工業株30種平均株価は170ドルの下落となりました(前日まで500ドル程度上昇していたことの反動、フランス同時テロを懸念した売りもある)→米国景況感にマーケットはセンシティブになっていることがわかります。そして注目は22日のECB理事会です。ユーロ圏のCPIがマイナス圏に沈み、QEに反対のドイツもデフレ阻止に足並みを揃えることが想定できます。 ギリシャ総選挙前のタイミングでQEを決定することができるか?、今年最初の大きな分岐点になります。

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