FM 今週のポイント(12 月22 日)
*FOMC を通過して、FRB の巧みなコミュニケーション力で原油安を背景とした世界的なリスクオフ が緩和しました。FOMC 後の声明文では焦点となっていた「相当な期間」(ゼロ金利政策を解除し て金利を付けるまで相当な期間を要する)が削除されませんでした。また、新たに「忍耐強く」(金 融正常化まで忍耐強く待つ)という表現を追加しました→マーケットはハト派的表現と受け取り (FRB はゼロ金利政策解除を急いでいない=2015 年4月までは金利がつかないことを確信)、NY 株式市場を中心に世界的にリスク資産が急速に買い戻されることになりました。FOMC までは原 油安が高じてロシアをはじめ産油新興国の経済破綻を懸念して株式等のリスク資産が大きく売 り込まれていました。原油価格と連動する形でNYダウは12 月5日の高値(17991.19 ドル)か ら922 ドル(5.12%)下落していましたが、17 日からの3日間で736 ドル(4.3%)上昇(特に18 日 は421 ドル高と約3年振りの大幅上昇を記録してリスクオフ地合いを払拭)しました。日経平均 株価も12 月8日の取引時間中高値18030 円から17 日の16672 円まで1358 円(7.53%)下落し ていましたが19 日はこの下げ幅の半値戻し水準である17351 円を簡単にクリア、終値は17600 円台まで上昇しました。年末までに18000 円台を回復、今年の高値を更新する可能性が出てきて います。
*しかし、ファンダメンタルズに変化が無いにもかかわらず、リスクオフがリスクオンに簡単に転 換するものでしょうか?→簡単に転換するのです。何故ならば、典型的な過剰流動性相場が継続 しているからです。10 月中旬にかけても世界的なリスクオフが進行しました。VIX 指数は短期的 に31%を超えて、日経平均株価は16672 円まで売り込まれました。10 月のリスクオフの背景は QE3 終了に伴うマーケットの動揺と、その動揺を利用したモメンタムプレヤーの暗闘です。10 月 15 日を底として日銀による追加緩和、ECB のQE実施期待等から簡単にリスクオンに転換、日米 ともに株式は今年の高値を示現しました。オン・オフ転換はファンダメンタルズによるものでは なくマーケット心理の変化によるものです。今回の原油安を背景としたリスクオフも世界的な景 況感(特に米国)と過剰流動性モメンタムのバランスを基としたマーケット心理の些細な変化に よるものです(過剰流動性の規模が拡大するにつれデリケートさを増す)。年末にかけてマーケッ ト心理の好転から堅調な相場が続くものと思われますが、センシティブなオン・オフ転換に注意 が必要です。
*肝心のファンダメンタルズは徐々に改善しています。足元の原油安は先進国にとって大きなボー ナスであることは間違いありません(ガソリン価格の低下が個人消費を刺激する)。米国個人消費 の動向を占う上で注目されるのが今週23 日に発表される11 月の個人消費支出です→好調な自動 車販売や年末商戦が全体を押し上げて前月比0.5%増と10 月の0.2%増から拡大する見込みです。 また、同日にミシガン大学消費者態度指数でガソリン価格の低下が消費者心理にどのように影響 しているか明らかになるでしょう。原油安がもたらす好影響に再度、マーケットが目を向け始め れば例年通りの年末ラリーが期待されます。
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