FRBは利下げに慎重・米長期金利高止まりから円安圧力が増す
先週は日米の中央銀行の金融政策決定会合を受けて、日経平均株価は4日間続伸し、22日には終値で40,888円と最高値を更新しました(一時41,000円に乗せる場面もあった)。日銀(18-19日会合)がマイナス金利解除を行いましたが、金融緩和的な姿勢を維持されるとの見解が広がったことや、織り込みが終わったことによって為替が円安に振れたことも株価の上昇を促したようです。19-20日の米FOMCでは政策金利見通し(ドットプロット)は、2024年中の3回の利上げと、前回公表(12月)から変わらなかったことや、一方で経済見通しにおいて24-26年の実質成長率を上方修正したこと、QT(量的金融引き締め)のペースを将来において緩めると表明したことで、米国株も最高値を更新しました。
米FOMCに関しては、インフレ警戒を背景に2024年中の利下げ回数が2回に減少するとの予想も事前にはあったようです。実際に今回公表のドットプロットでは、3回以上の利下げ10人に対して2回以下の利下げ9人と均衡した状態でした。前回(12月)は11人対8人であったのでややタカ派にシフトしたような状況です。
25日にアトランタ連銀のボスティック総裁は、利下げ時期は従来の予想よりも後ずれする可能性が強いとして、年内の利下げは1回にとどまるという自らの予想を改めて示しました。
22日発表の2月の国内消費者物価指数は生鮮食品を除く総合指数(コア)が前年同月比+2.8%と大きく上昇しました。政府の電気・ガス代の抑制策から1年が経過し、前年比の物価上昇率を下げる効果がなくなったことが影響しています。ただし、日銀の物価安定目標の2%を23カ月連続で上回っており、今後の利上げ時期を視野に注目が高まりそうです。29日には3月の東京都区部消費者物価指数が発表されます。
米長期金利が高止まりする中で、円安圧力が高まるのであれば、日銀の次回利上げ時期も早まる可能性があるかもしれません。
今週は、26日:米コンファレンスボード消費者信頼感指数(3月)、29日:個人消費支出(PCE)物価指数(2月)が注目されます。
今週の日本株は、先週の急速な上昇に対する反動と、先週からの材料を精査しつつ、動きの少ない展開を予想します。
この記事を書いている人
藤根 靖昊(ふじね やすあき)
- 東京理科大学 大学院総合科学 技術経営研究科修了。
- 国内証券(調査部)、米国企業調査会社Dan&Bradstreet(Japan)を経て、スミスバーニー証券入社。化学業界を皮切りに総合商社、情報サービス、アパレル、小売など幅広いセクターを経験。スミスバーニー証券入社後は、コンピュータ・ソフトウエアのアナリストとして機関投資家から高い評価を得る(米Institutional Investorsランキングにおいて2000年に第1位)。
- 2000年3月独立系証券リサーチ会社TIWを起業。代表を務める傍ら、レポート監修、バリュエーション手法の開発、ストラテジストとして日本株市場のレポートを執筆。