米国経済指標が集中するが堅調な内容であれば株価にプラス、下振れすればマイナス
先週は強含みの米国経済指標を受けて米国株が上昇する中、日本株は高値からの利益確定売りと、四半期末の機関投資家のリバランスが絡み調整しました。
6月27日発表の5月の米耐久財受注は前月の改定値より+1.7%となり市場予想(+1.0%)を上回りました。コンファレンスボード消費者信頼感指数(6月)は前月の改定値から7.2pt上昇し、2022年1月以来の高水準となりました。29日発表の米1-3月期GDPは年率で前回発表の1.3%から2.0%に上方修正されました。また、30日発表の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+3.8%と4月(+4.3%)から低下しました。
こうした堅調な経済指標の発表からFRBの年内2回の追加利上げを予想する市場関係者は増えつつあるものの、厳しいリセッションには至らないという見方も増えつつあるようです。
国内は目立って好転する経済指標は少ないものの、内閣府が4月の景気動向指数の改定値で基調判断を「改善している」に上方修正した(26日)ほか、7月3日発表の日銀短観において、業況判断指数(DI)は大企業製造業が前回1から4へ、大企業非製造業が前回20から23へと改善しました。大企業製造業の改善は7四半期ぶりです。前週末の米株高と日銀短観を受けて3日(月)の日本株は大幅な上昇となりました。
他方で国内の物価上昇が継続しています。30日発表の6月の東京都区部消費者物価指数では生鮮食品を除く総合が前年同月比+3.2%と5月(+3.1%)から上昇しました。また、日銀が算出している消費者物価指数の「刈り込み平均値」(変動の大きな項目を除いて算出)は5月が前年同月比+3.1%と4月(+3.0%)から上昇し、2001年以降で過去最高となりました。こうした物価情勢や円安の進行から日銀の政策変更に対する市場の思惑がくすぶっております。次回(7/27-28)の日銀金融政策決定会合においてサプライズがあるとは言えないまでも、市場の警戒が広がる可能性もあり、株価も高値追いは禁物と考えます。
今週は米国主要指数の発表が続きます。3日発表の6月のISM製造業指数は46.0と5月(46.9)・予想(47.2)を大きく下回りました。今後は、6日:ISM非製造業指数(6月)・雇用動態調査(5月)、7日:米雇用統計(6月)と続きますが、堅調な指標発表が続けば米国株にはプラスと考えます(逆に弱い指標はマイナス)。5日にはFOMC議事録(6/13-14)の公表も予定されておりますが、大きなサプライズはないものと考えます。
この記事を書いている人
藤根 靖昊(ふじね やすあき)
- 東京理科大学 大学院総合科学 技術経営研究科修了。
- 国内証券(調査部)、米国企業調査会社Dan&Bradstreet(Japan)を経て、スミスバーニー証券入社。化学業界を皮切りに総合商社、情報サービス、アパレル、小売など幅広いセクターを経験。スミスバーニー証券入社後は、コンピュータ・ソフトウエアのアナリストとして機関投資家から高い評価を得る(米Institutional Investorsランキングにおいて2000年に第1位)。
- 2000年3月独立系証券リサーチ会社TIWを起業。代表を務める傍ら、レポート監修、バリュエーション手法の開発、ストラテジストとして日本株市場のレポートを執筆。