日本の復興と針路~4人の社長の見方~

2011/12/20

2011年10月の日本証券アナリスト大会で、セイコーエプソンの碓井社長、帝人の大八木社長、ローソンの新浪社長、住生活グループの藤森社長のパネルディスカッションがあった。その中で、印象に残った提言についてキーワードを軸にいくつか紹介したい。

〈新市場〉創エネが新しいビジネスになる。原子力に代わるものとして、住宅でどう解決していくかが問われる。ゼロエナジービル、ゼロエナジー住宅が注目されよう。(藤森社長)

〈価値創造〉電力、環境の制約があるものの、自ら作り出す価値を高めていく必要がある。1つの山を越えた先に、本当に価値あるものがある。日本の価値を再認識し、サムソンやアップルでできないものを作っていく。(碓井社長)

〈ビジネスモデル〉技術で勝って、事業で負けるのは、顧客の価値を斟酌してこなかったところにある。かつては技術が価値を生んだが、価値創造に決定的に大事なものは何かをもっと追究する必要がある。(碓井社長)

〈組織能力〉真似をしても価値創造にはならない。日本人は力があると信じて、新しい技術、仕組みを作っていく。日本のハードの強さをもう一皮剥く必要がある。主体的に動けるように、強い思いのある組織を作る。そうすれば日本の道徳性も生きてくる。(碓井社長)

〈新陳代謝〉日本は競争を嫌う文化になっているのか。ガバナンスを強めて、資本効率を高める必要がある。国を開き、規制を見直して、20代~40代に競争の中で自信をつけてもらう。経営の若返りで、COOは40代後半に担ってほしい。(新浪社長)

〈リーダーシップ育成〉日本の課題は農業の活性化である。メーカーはものづくりに加えて、サービス力やソリューションプロバイダー力が問われている。そして、何よりも若い人々にはリーダーシップの教育がなされていない。GEの良さは、米国以外の外国人に対する人材教育が素晴らしい点にある。(藤森社長)

〈競争力〉日本企業はこれまで中国に進出し、これからは一斉にインドに行こうとしている。しかし、クオリティからみると、日本が圧倒的に優れている、このことが確認できた。(大八木社長)

〈サステナビリティ〉短期ではなく5~10年の目線が必要である。中国に進出して、どうマネージしていくか。サステナブルキャピタリズムを追求して、グローバル企業になり、ROEを現在の14.5%から20%へ上げたい。(新浪社長)

〈グローバル化〉住生活グループは今の売上高1.2兆円を3兆円規模に持っていく。そのためには相当大きなM&Aが必要である。今が攻めの時期で、円高はチャンスである。そのためにはグローバル人材が必要である。CSRや人事制度を含めて、海外に出て尊敬される会社になりたい。(藤森社長)

〈戦略〉中国はインフラを作って、国内消費マーケットを伸ばす。韓国は韓流を宣伝し、輸出している。いずれも戦略的に国の作り方を考えている。アジアの国々は日本に魅力があるという。この日本を開国しよう。(大八木社長)

〈ダイバーシティ〉世界の投資家に投資してもらい株主になってもらう。そのためには人材のダイバーシティが必要で、日本のほかに、シンガポール、上海に本社機能を置いている。日本では女性が働き易い会社にすることである。(新浪社長)

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