8月の米国雇用統計~年内の金融政策スタンスは?
- 8月NFPは前月比+20.1万人でした。雇用は月当たり20万人前後の順調な増加が続いています。
- 賃金は前年同月比+2.9%と約9年ぶりの高い伸びでした。インフレ加速の気運が高まっています。
- 一部に利上げ警戒の向きも出ていましたが、年内2回・0.5%の利上げの確度は高まったと見られます。
幅広い年齢層で順調に雇用拡大
7日、米労働省が発表した8月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+20.1万人でした。また、失業率は前月比横ばいの3.9%でした。雇用は、引き続き月当たり20万人前後の順調な増加が続いています。
景気拡大が続く中、雇用のすそ野が年齢層を問わず広がっている感があります。今回の失業率統計では、就業者数が前月比-42.3万人と大幅に減少(NFPとは異なる方法で集計)した一方、非労働力人口(就業する意思がない人)が同+69.2万人でした。現在は、1946~64年生まれのベビーブーム世代の退職が続いており、就業者から非労働力へのシフトが多い状態です。ただし、非労働力人口のうち、潜在的な求職者(現在は求職活動をしていないが職を欲している人)は同+22.6万人でした。好調な景気の下で、こうした層が再就職し、その中には少なからず、ベビーブーム世代も相当含まれています。同時に、若・中年層(20~54歳)の就業者も着実に増加しています。
労働需給ひっ迫で賃金増、インフレ加速の方向
失業保険統計では、直近(8月26日の週)の新規失業保険申請件数が20.3万件と、69年12月以来約49年ぶりの低水準となり、労働需給のひっ迫度合いが増しています。こうした中、民間企業時間当たり平均賃金(以下、賃金)は前年同月比+2.9%と、09年6月以来の高水準となりました。米金融当局が金融政策判断に参照しているPCE価格指数は、7月で前年同月比+2.3%となりましたが、賃金の伸び加速が続けば、こちらもプラス幅を広げる方向性が強まっていくと見られます。
このところ、トランプ米大統領の利上げに対する不快発言や、一部に利上げ打ち止めの議論が始まるのではないかとの見方が出てきています。しかし、賃金、物価の上昇が高まっているなかで、年内2回・0.5%利上げの確度はより高まったと見られます。
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