ブラジル、利下げ打ち止め~金融政策とレアル相場の展望
- 政策金利は6.5%で据え置きでした。インフレ率低下も、外部要因による通貨下落が意識されました。
- 中銀は、政策金利の現水準での据え置きを適当としていますが、リスク状況も注視するとしています。
- 新興国通貨には厳しい環境ですが、財政事情の改善はプラス面として留意しておくべきと考えます。
外部要因の変化意識
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は15-16日、Copom※を開き、政策金利のSELIC◇金利を6.5%で据え置きました(全会一致)。16年10月から始まった利下げサイクルは12会合連続で打ち止めとなりました。
4月CPIが前年同月比+2.76%とインフレ目標(右図中)を下回り、大方は追加利下げを予想していましたが、通貨レアルの急落が意識され、据え置きが決定されたと見られます。好調な米景気を背景とした米ドル金利上昇から、新興国市場への投資資金流入の先細りが懸念されています。また、一部の中南米諸国が経済・財政的に苦境に陥っていることが、同地域の通貨のイメージを悪くしていることも考えられます。中銀は、今後のインフレ、政策金利見通しを大きく変えておらず、当面は現水準で政策金利を据え置くことが適当としていますが、リスクバランスも注視するとしています。
ファンダメンタルズの改善に留意を
レアル相場は下げ足を速めています。米国の着実な利上げがより確実になったとの見方から、上記のとおり、新興国通貨全般が厳しい環境に置かれています。大方の予想に反する政策金利据え置きにも反応薄でした。
一方、ブラジルの景気が回復していることで、レアル下落の一因とされる厳しい財政状況が改善しています。財政収支対名目GDP比(12ヵ月累計)は、17年12月の-7.8%からさらに改善、18年3月は-7.3%です。低金利が景気を刺激し、18、19年の実質GDP成長率は+2%台が予想され(アムンディによる)、財政収支の改善は続く見通しです。外部要因によるレアル安の歯止めには時間がかかりそうですが、こうしたファンダメンタルズ(基礎的経済条件)改善には目を留めておくべきと考えます。
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