米国、トルコの関係悪化と今後のトルコリラ相場について

2017/10/11 <>
  1. 在トルコ米大使館職員の逮捕を受け、米、トルコ両国が相互にビザ発給を停止、関係が悪化しています。
  2. 関係がこじれる可能性もあり、外交リスクを警戒し、為替市場がすぐに正常化するのは難しい情勢です。
  3. 好調な欧州経済の影響から景気が回復し、経済面でリラに投資妙味があるとの見方は変わりません

カントリーリスクの高まり意識

8日、在トルコ米大使館は、トルコ国内でのビザ発給を停止し、在米トルコ大使館も同日停止、両国の関係が悪化しています。トルコ当局は、16年7月に起こったクーデター未遂事件の首謀者と疑うイスラム教指導者ギュレン師(現在、米国に亡命中)の支持者の公務追放を強行しています。こうした中で、米大使館のトルコ人職員が逮捕され、対抗措置が講じられたものです。

トルコ政府は再三、ギュレン師の引き渡しを要求してきましたが、米国は法的、人道的、政治的な理由から拒否しており、関係が冷え込んでいました。また、イスラム過激派ISの掃討のため、トルコが非合法化しているクルド人勢力「人民防衛隊」(YPG)に米国が軍事援助したことも両国間のしこりとなっています。通貨リラは、カントリーリスクの高まりが警戒されて下落、対ドルでは6日時点の1ドル3.62リラから、10日時点では3.71リラと、2.5%程度下落しています。

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欧州・ロシア経済との関係が下支え

トルコはNATO(北大西洋条約機構)加盟国ながら、仮想敵国とされるロシア、イランと関係を改善させる一方、本来友好国である米国、ドイツとの関係が悪化しており、今回の事態で米国との関係がこじれる可能性も否定できません。

したがって、早期の市場正常化は難しいかもしれません。ただし、トルコ経済は、欧州やロシアの景気回復の影響から外国人観光客数が急増しており、それが企業の景況感を押し上げています。また、雇用環境の改善や、まだ高いインフレ率も年明け後にはピークアウトが見込まれています。米国との経済関係もある程度あるものの、欧州との関係に比べると関係悪化の影響は小さいと見られ、経済面から見たリラの投資妙味は失われていないと思われます。

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