ブラジル経済の現状と今後の市場の展望~堅調な個人消費
- 4-6月期実質GDP成長率は前期比+0.3%となり、穏やかな景気回復が確認されました。
- 低インフレ、低金利を背景に個人消費が堅調に推移、GDPの7割を占めるサービス業を押し上げました。
- 政局混乱で通貨レアルは神経質な展開が予想されますが、景気拡大を背景に底堅く推移するでしょう。
利下げ→個人消費拡大→サービス業堅調の好循環
1日に、IBGE(ブラジル地理統計院)が発表した17年4-6月期の実質GDP成長率は、前期比+0.3%となり、1-3月期の同+1.0%からやや減速しましたが、堅調な個人消費を背景に穏やかな景気回復が確認されました。
内訳を見ると、18年ぶりの低インフレ※や、4年ぶりの1ケタの政策金利を背景に、10四半期ぶりに個人消費(前期比+1.4%)がプラスに転じ、GDP全体の7割以上を占めるサービス業(同+0.6%)を押し上げる形となりました。サービス部門の成長は、同部門の雇用(正規・非正規)増加(前四半期+1.4%)にもつながっており、「低インフレ→利下げ→個人消費拡大→サービス業堅調」という、経済の好循環が見受けられます。
一方、S&P*は8月15日、年金改革法案などの財政支出削減策や、構造改革に取り組む政府の姿勢を評価、ブラジルに対するクレジットウォッチ指定(格下げ方向)を解除しました。外貨建て長期債務格付け(BB、見通し:ネガティブ)は据え置かれ、当面、格下げの可能性は低下しました。また、メイレス財務相は、企業の大幅な債務削減やインフレ圧力低下による消費拡大を背景に、今年の成長率が年末までに年率2%になる可能性があるとしており、穏やかな景気拡大はしばらく継続する見込みです。
※ 7月CPI 前年同期比+2.71%、 *米大手格付け会社 S&Pグローバル・レーティング
レアルは底堅い展開
18年10月に次期大統領選を控える中、テメル大統領に汚職疑惑の新たな訴追の可能性が出るなど、政局混迷が続き、レアルは当面神経質な展開が予想されます。
米国の弱い経済指標や早期利上げ観測後退を背景にドルは軟調に推移する一方、景気拡大や高金利を選好する資金流入がレアル相場の下支えとなり、底堅い展開が見込まれます。
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