英ポンド市場の現状と今後の見通し
- 昨年6月のBrexit選択で英ポンドは大きく下落、その後は対ドルで低迷が続いています。
- 対英投資手控えで今後は景気が減速するものの、景気拡大方向は維持されると見込まれます。
- ハードBrexitを含め、ポンドにとってのマイナス要因はかなり織り込まれ、今後底堅いと予想されます。
Brexitも底堅い景気続く
16年6月、英国がBrexit(EU〔欧州連合〕からの離脱)を選択して以来、英国経済が沈滞するという不安感が拭えず、英ポンド相場が低迷しています。
しかし、足元の英国経済は堅調です。16年半ば以降、Brexit に対する不安感でポンドが下落したことで、景気刺激効果がもたらされたためです。この結果、CPIが、原油価格の回復もあいまって上昇を速め、17年に入って前年同月比+2%超えてきました。インフレ率上昇を受けて追加金融緩和の圧力が後退し、ポンドが下支えされています。アムンディでは、ポンド安効果の一巡や、Brexitを見据えた対英投資手控えの影響で今後は景気が減速し、CPIも18年にはピークアウトすると見込んでいます。ただし、景気減速はユーロ圏に対しても予想していますので、大局的には「緩やかな景気拡大が続く」という認識が適当かと思われます。
対円で相対的な上昇余地
ポンド相場は、16年6月のBrexit 選択で大幅に下落し、さらに11月にはハード Brexit(EU市場からの完全な離脱)の可能性が高まったとの見方からもう一段下落しました。対ドル相場はBrexit直前から約16%下落しました(1ポンド1.48ドル→1.24ドル)。
ただし、Brexitに伴う英国にとってのマイナス要因は、ここまででかなり織り込まれたと考えられ、対ドルの下落余地は縮小していると思われます。また、対円相場は、対ドル相場と同じく下落していますが、米大統領選挙後のドル高・円安進行を受け、上記期間での下落率は対ドルほどではありません(約13%、1ポンド157円→136円)。米国では年内複数回利上げされ、ドル高・円安が緩やかに進むことから、対円相場はやや円安方向に推移すると予想されます。
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