インドネシアの金融政策と今後の通貨、株式市場展望

2017/02/17
  1. 政策金利は4.75%で4カ月連続据え置きです。物価の安定を受け現行スタンスが適当との判断です。
  2. 底堅い米中景気を受け国際収支が大幅に改善、金融政策の余裕拡大や通貨安定につながりそうです。
  3. 投資資金の米国への流出が警戒されて株価は上昇を抑えられていますが、割安感が強まっています。

バランスのとれた経済循環

2月14、16日のBI(インドネシア銀行)定例理事会では、政策金利の新BIレート(7日レポ金利)が4.75%で据え置かれました。据え置きは4カ月連続です。

16年の実質GDP成長率が+5.02%と、2年ぶりに+5%台を回復し、景気は底堅く推移しています。一方、1月のCPIが前年同月比+3.49%とインフレ目標の圏内にあります。経常赤字の対GDP比が10-12月期は0.8%と大幅に改善し、通貨ルピアの下支え要因になっていることが一部影響したと見られます。景気、物価、国際収支が非常に良くバランスした状態になっていることから、現行の金融政策スタンスが適当と判断されたようです。国際収支の改善が金融政策による対応に幅を与え、通貨価値を安定させる効果が期待されます。

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為替相場、株価共に上昇を抑える要因は少ない

インドネシアは、外貨準備の過度な減少を防ぐため、緩やかな通貨安を志向する通貨政策をとっています。しかし、1月末の外貨準備高が過去最高に近い水準に達しています。現在は、米大統領選挙後のルピア急落(対ドル)の幅をほぼ半分取り戻した水準にありますが、政策的に上昇が抑えられる環境ではなく、底堅く推移しそうです。

また、代表的株価指数であるJCIは米大統領選挙前の水準を取り戻しつつありますが、新興国の株式市場全体で見ると出遅れています。MSCI新興国株価指数(現地通貨ベース)は16年10月末以降の変化率が+4.1%(2月16日現在)なのに対し、JCIは-0.8%にとどまっています。一方、17年のEPS(1株当たり純利益)は前年比+50%以上と予想されており、企業業績見通しも良好です。米利上げによる投資資金流出懸念が逆に割安感を強めていると思われます。

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