国際収支と国際分業の現段階①
何故トランプ政権は軍事力行使を強めているのか
~工業力から金融力へ、中国のプレゼンスの高まり~

2026/04/28

【ストラテジーブレティン(399号)】

(1)軍事力行使強めるトランプ政権

トランプ政権が軍事力行使を強めている。その強引な姿勢が、中国やグローバルサウスの反発のみならず、欧州諸国の対米批判と同盟の絆弱体化をもたらしている。この好戦性は、トランプ政権の対中政策が平和共存へとシフトしたことを考えると意外である。第一次トランプ政権の対中政策は、中国共産党体制への批判を強めつつ、圧力を重視する強硬なものであった。しかしエルブリッジ・コルビー国防次官らが中心的役割を果たしているとされる第二次トランプ政権の対中政策は、 中国のアジア覇権を阻止するという大目的を堅持しつつ、全面対決を避けて競争を管理するという現実主義に舵が切られた。実際昨年10月の韓国慶州での米中会談では、トランプ氏は米中をG2と称して、中国を米国とともに世界秩序を担う図抜けた存在であることを始めて認めた。2025NSS(国家安全保障戦略)では対中批判がほぼ消えたことを、多くの専門家が指摘していた。その直後のベネズェラ、イランでの軍事作戦は大変に意外性があった。ベネズェラ作戦はNSSで強調した新モンロー主義で正当化できるとしても、イランは東半球であり、米国が自らの防衛線と認識する周縁圏、外延圏とは到底言えない。空母打撃群2隻を動員しての斬首作戦は多くの人々にとって、受け入れがたいものであっただろう。それに続いて語られているキューバのレジーム転換作戦も軍事力を誇示したものになる。明らかに国際法や国際組織の規範を超え、武力行使に傾斜している。

このトランプ政権の好戦性の高まりの背景には工業力に続き国際金融力においても中国のプレゼンスが急速に高まり、米国はもはや経済外的威力に頼らざるを得ない現実がある。

>>続きはこちら(737KB)

株式会社武者リサーチ
武者ストラテジー   株式会社武者リサーチ
「論理一貫」「独立不羈」「歴史的国際的視野」をモットーに、経済と金融市場分析と中長期予想を目的とし提供していきます。
著作権表示(c) 2013 株式会社武者リサーチ
本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。本書および本書中の情報は秘密であり、武者リサーチの文書による事前の同意がない限り、その全部又は一部をコピーすることや、配布することはできません。

コラム&レポート Pick Up

このページのトップへ