インドネシアの金融政策と今後の市場展望
- 8月から運用開始の新BIレートは5.25%で前回比変わらず、BIレート±0.75%の上・下限付きです。
- インドネシア経済は適度な経済成長と低インフレで安定しています。経常赤字も低水準です。
- 投資資金流入期待と世界の経済、市場の安定で、通貨は底堅く、株価は堅調な推移が予想されます。
今回から政策金利を変更
8月18-19日、BI(Bank Indonesia、インドネシア銀行)が定例理事会を開きました。今回から政策金利が、旧BIレート(12カ月)から新BIレート(7日)に変わります。また、金融政策に適用する金利の上限下限をそれぞれ示したLFレート(中銀貸出金利)、DFレート(中銀預金金利)がBIレートの±0.75%に設定されました。
政策金利の変更は、すでに4月に発表しており、前回まではその準備期間でした。金融調節の実態に合わせた政策金利の設定と上限下限の幅の簡素化によって、金融政策の透明性と政策効果の浸透の効率性の向上を目指したものです。新BIレートは5.25%、LFレートは6.0%、DFレートは4.5%となります。なお、前回の会合(7月20-21日)から、新BIレートは変更ありませんでした。
インドネシア経済は好調です。4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.18%と、15年半ばから徐々に加速しています。しかし、CPIは7月で前年同期比+3.21%と、ジョコ政権成立(14年10年)後では最低になっているほか、4-6月期の経常赤字対名目GDP比は2.0%と、低水準にとどまっています。
インフレ、経常赤字低水準で緩和的政策スタンス継続
インドネシア経済は好調です。4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.18%と、15年半ばから徐々に加速しています。しかし、CPIは7月で前年同期比+3.21%と、ジョコ政権成立(14年10年)後では最低になっているほか、4-6月期の経常赤字対名目GDP比は2.0%と、低水準にとどまっています。
BIは、好調な経済を受けた海外からの投資資金流入の期待が強いことから、通貨価値は当面安定し、結果、インフレ圧力が高まる可能性も当面は低いと判断しており、緩和的な金融政策を継続する姿勢です。ただし、年後半は、政府の積極的な財政支出が一服し、現状より景気はやや減速すると予想しています。
投資資金流入期待でルピア底堅く、株価堅調
こうした金融、経済情勢を受け、インドネシアルピア(以下、ルピア)は、対ドルでは高値圏で安定しています。年初は一時1ドル1万4000ルピア近くでしたが、足元は1万3100ルピア近辺です。ルピアが底堅い要因としては、投資資金の流入期待、好調な経済への好感のほか、海外金融・資本市場の混乱沈静化や米利上げ期待の後退などが挙げられます。
また、株価も堅調です。主要株価指数であるジャカルタ総合指数(JCI)は年初来+17.9%(8月19日現在)と、同期間のMSCI新興国株価指数(現地通貨ベース)の+9.8%を上回っています。企業業績も好調です。15年は減益に終わりましたが、16年は10%を大きく上回る2ケタの増益率が予想(Bloomberg調査による)されています。
ルピアについては、内外の好条件がそろった状態が当面続き、対ドルでは底堅く推移しそうです。また、対円はドル・円相場に振らされやすいものの、下値不安は大きくないと思われます。株価は、これまでの積極財政の景気押し上げ効果が持続すると期待されており、米早期利上げ期待の再燃や海外金融・資本市場の大きな混乱がない限り堅調に推移すると思われます。
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