メキシコ、政策金利据え置き~今後のペソ相場の展望
2016/08/12
<投資信託>
- 中銀は政策金利を4.25%で据え置きました。経済、市場が落ち着いたことを受け、今回は様子見です。
- 通貨安の影響でコアインフレ率が上昇していますが、上振れするリスクは小さいと見られています。
- 外部リスクが軽減してきたこと、やや高めな金利水準から、ペソは底堅さを増してくると思われます。
インフレ圧力は限定的と判断
8月11日、メキシコ中央銀行(以下、中銀)が定例理事会を開き、政策金利(オーバーナイト金利)を4.25%で据え置きました。Brexit(英国のEU〔欧州連合〕離脱)決定直後の6月30日に緊急利上げを実施し、通貨防衛の姿勢を強めました。しかし、その後市場が安定し、経済見通しは依然不透明ながら、短期的な下押しリスクは軽減したとして、今回は様子見となりました。
インフレ率が上昇方向にあります。CPI総合指数は、エネルギー価格等の低迷で、7月は前年同月比+2.65%にとどまりましたが、コア指数(食品、エネルギー、政府管理品目除く)は同+2.97%とインフレ目標(+3±1%)のほぼ中央です。これは、メキシコペソ(以下、ペソ)の下落による影響が大きいと思われますが、中銀は今後上振れする可能性は低いと判断しています。
外部リスク軽減でペソに追い風
ペソは年初来、原油価格(WTI※)が1バレル20ドル台となった2月と、Brexitが決定した6月に、一時1ドル19ペソを超えて下落し、緊急利上げにつながりました。
原油と英国の問題は依然ペソにとって外部リスクであり、加えてトランプ氏が米大統領で当選すればペソ安要因と見られます。しかし、原油価格維持に向け協調気運が出てきたほか、Brexitも、世界経済への影響は限定的という見方が強まっています。米大統領選はクリントン氏がやや優勢です。金利水準も対米比で高さが目立ってきました。どれもペソには追い風であり、当面は対ドルで底堅さが増すと思われます。ドル・円相場も足元安定しているため、対円も同様の動きが期待されます。
※WTI(West Texas Intermediate):米国の指標油種
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