ブラジルの金融政策と、レアル相場の展望

2016/07/21
  1. Copom(金融政策委員会)は政策金利を14.25%で据え置き、インフレ抑制姿勢を続けます。
  2. インフレ率の鈍化に対し、ブラジル中央銀行はあくまで慎重ですが早ければ年内利下げもあり得ます。
  3. 財政再建目標への評価はまずまずで、景気底打ち感もあり、レアルは当面底堅く推移しそうです。

インフレ率はコアでもピークアウト感、政策スタンスは依然慎重

7月19-20日にBCB(ブラジル中央銀行)がCopomを開催し、政策金利のSELICレートを14.25%に据え置きました。15年7月以来約1年間据え置いています。Copom終了後に発表された声明文では、インフレ目標(+2.5-6.5%)への鈍化が明確に見通せる状況にならない限り緩和の余地はないとしています。

インフレ率は鈍化が続いており、6月時点では前年同月比+8.84%と12カ月ぶりに+9%を割り込みました。最近数カ月の前月比(平均で+0.5%程度)が続くと仮定すると、17年早々にもインフレ目標上限である前年比+6.5%を割りこんでくる計算になり、早ければ年内にも利下げに転じる可能性が出てきています。

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財政再建への取り組み以外も、レアルにプラスの展開

テメル暫定政権が7月7日に財政再建計画を発表しました。プライマリーバランスの対名目GDP比を、16年見込みの-2.8%から17年に-2.0%へ改善させるというものです。楽観的との見方が多いものの、市場の評価はまずまずで、ブラジルレアル(以下、レアル)を下支えしているようです。

また、景気面では、鉱工業生産や小売売上高に下げ止まりの兆候が出ているほか、経常収支が4、5月の2カ月連続で黒字を計上しているなど、改善傾向が見られるようになってきていることもレアルの再評価につながっていると思われます。年後半に利下げが現実味を帯びてくるような状況になってきた場合、レアル買いが促されることも考えられ、レアルは当面底堅く推移しそうです。

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