オーストラリア(豪)の金融政策と今後の豪ドル見通し

2016/05/06
  1. 政策金利が1.75%に引き下げられました。CPIが予想外の低水準だったことが引き金と見られます。
  2. RBAは、商品市況の持ち直しによる豪ドルの反発も、景気回復の妨げになると懸念しています。
  3. 今回の利下げで景気・物価予想の改善が見込まれ、豪ドルは当面小幅な動きになると期待されます。

経済指標はおおむね改善も予想外の低インフレ

5月3日、オーストラリア準備銀行(RBA)は定例理事会を開き、政策金利のキャッシュレートを2.0%から1.75%に引き下げると決定しました。15年6月以来11カ月ぶりの追加利下げです。

豪経済は、国際商品市況低迷による鉱業投資急減を内需でカバーし、緩やかに成長しています。企業の景況感が良好で、失業率が6%を割り込み、商品市況が下落を始めた14年半ば以前の水準に戻りました。これを受けて個人消費が堅調です。しかし、4月25日に発表された1-3月期のCPIが前年同期比+1.3%と、市場予想(+1%台後半)を大きく下回り、今回の利下げの原因になったと見られます。インフレ率低下は、財・サービス問わず広範囲にわたっており、堅調な内需がインフレ率押し上げにつながっていないことが示されました。

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追加緩和の姿勢は見られず、豪ドルは当面小幅な動きか

RBAはさらに、国際商品市況の持ち直しで豪ドルが上昇していることが景気回復の妨げとなり、インフレ率を抑制していると警戒しています。

豪ドルは国際商品市況との連動性が高く、対米ドル相場は1月に1豪ドル=0.70米ドルを割り込んだ後反発し、4月には0.78米ドルまで上昇しました。利下げ発表後は0.75米ドルを割り込んでいます。しかし、それ以上の大きな下落にはなっていません。RBAは、今回の利下げが景気とインフレの見通しを改善させる見ており、さらに利下げする姿勢は見られません。対円相場は、ドル・円相場の動向にも影響されますが、対米ドル相場では当面小幅な値動きになると見込まれます。

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