ブラジル経済動向(2020年7-9月期GDP)~今後の景気、市場展望
- 実質GDPは前年同期比-3.9%でした。大幅にリバウンドしましたが、個人消費の戻りが今一つでした。
- 今後は緩やかな回復に移行しますが、新型コロナの感染再拡大、財政支出の一巡がリスク要因です。
- 世界的なリスク選好の改善でレアル相場、株価は上昇していますが、先行き不透明感が残る情勢です。
緩やかな景気回復へ待たれるワクチン実用化
12月3日、ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した2020年7-9月期の実質GDPは、前年同期比-3.9%(前期比+7.7%)でした。コロナ禍で大きく落ち込んだ4-6月期から大きくリバウンドしました。
主な需要項目の前年同期比に対する寄与度は、最終消費が-5.0%、固定資本投資が-1.5%、在庫投資が-1.1%、純輸出が+3.6%でした。内需はいずれもマイナス幅が大きく縮小しましたが、個人消費を中心にリバウンドは今一つでした。実質GDPの水準は、コロナ前である2019年10-12月期に対して4.1%下回っています。唯一、純輸出がプラス寄与ですが、これは輸入の減少によるもの(輸入はGDPのマイナス項目なので、減少はプラス寄与となる)で、まだブラジル経済が不況期から十分に脱していないことを示すものです。
ブラジルは本格的なロックダウンをしなかったため、景気後退の度合いは比較的軽微です。今後は緩やかな景気回復となり、2021年の実質GDP成長率については+3.5%を予想しています。11月に入って新型コロナの感染が再拡大していること、2021年は財政支出を抑制する方針にあることが景気下押しリスクです。新型コロナワクチンの実用化による自律回復力の向上が待たれます。
市場もワクチン次第
ブラジルレアル(以下、レアル)は、米大統領選挙終了に伴う政治リスクの後退、世界的なリスク選好の改善で反発しており、対円では3ヵ月ぶりに1レアル20円を回復しました。株価も上昇しています。しかし、史上最高値は更新しておらず、企業業績との対比でも割安感があります。
今後の相場展開は、緩やかな景気回復が維持されるならば安心感が高まり、上昇余地が拡大する可能性が高まります。それには、ワクチンの導入がどの程度進むかの影響が大きいと言わざるを得ず、現段階ではまだ不透明感が残る状況です。
アムンディ・マーケットレポートはこちら
アムンディ・ジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第350号
加入協会:一般社団法人 投資信託協会/一般社団法人 日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人 第二種金融商品取引業協会