ユーロ圏の11月物価・10月雇用~当面のユーロ相場展望
2020/12/03
<投資信託>
- 11月HICP総合は前年同月比-0.3%で横ばいでした。コロナ禍による景気後退の影響が続いています。
- 10月失業率は8.4%でした。前回から上方修正されましたが、雇用環境は最悪期を越えた感があります。
- 雇用・物価環境は年明け後に改善が見込まれ、ワクチン実用化も近く、ユーロは底堅く推移しそうです。
環境改善の方向が見え始めた
EU統計局(Eurostat)が発表した11月のユーロ圏HICP(統合消費者物価指数)は、総合が前年同月比-0.3%と9月から3ヵ月同水準です。コアも同+0.2%で同様です。コロナ禍による景気後退の影響が残っています。ただし、経済活動再開で多くの品目で下げ止まる動きが見られ、総合、コア共に、前月比では10月以降プラスとなっています。
10月の失業率は8.4%でした。7月が0.6ポイント上方修正され、実際には夏場に大幅な雇用削減があったことが示されました。8月以降、失業者数は前月比減少に転じており、雇用環境は最悪期を越えた感があります。ただし、5~7月合計で失業者数が247.3万人増加したのに対して、8~10月合計では31.5万人減少にとどまっています。雇用・物価環境は、年明け後には経済の正常化がさらに進むことで、さらに改善していくと見込まれます。
リスク選好改善でドル安主導
ユーロ相場は足元で上昇ペースを速めています。現在は1ユーロ1.21ドル台と、2年8ヵ月ぶりのユーロ高ドル安水準、対円は126円台に乗せ、こちらは1年8ヵ月ぶりのユーロ高円安水準となっています。
現在、欧州主要国では新型コロナの感染再拡大を受けて経済活動を制限しており、年末年始の景気に対する不透明感が強まっています。しかし、雇用・物価環境に改善の兆しが出てきているほか、新型コロナワクチンの実用化が近付いているとの見方から、市場のリスク選好が改善しており、ドル安主導の一環として、ユーロは当面底堅く推移すると期待されます。
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