英国経済の動向~2020年7-9月期GDP、市場展望
- 実質GDPは前期比年率+78.0%でした。内需が大きくリバウンド、輸出入も共にプラスに転じました。
- イングランド全域で再びロックダウンが実施され、年末にかけて景気の下押しが避けられない情勢です。
- 英ポンド相場は、年明け後の景気が不透明なこともあり、レンジ内で方向感の乏しい展開と考えます。
景気の先行きに暗雲
11月12日に英国家統計局(ONS)が発表した2020年7-9月期の実質GDPは、前期比年率+78.0%でした。他の国・地域と同様、景気は大きくリバウンドしました。しかし、コロナ前からの回復度合いはやや見劣りし、2019年10-12月期の実質GDPを9.7%下回っています。ちなみにユーロ圏は4.3%です。
主な需要項目の実質GDP成長率(前期比年率)に対する寄与度を見ると、4-6月期が最終消費中心の落ち込みであったため、7-9月期はその逆となり、+62.5%、一方、純輸出(輸出-輸入)は輸出入共に回復し、特に経済活動再開を受けて輸入の回復が目立ち、-10.7%とマイナス寄与に転じました(輸入はGDPのマイナス項目で、輸入増加はマイナス寄与)。
欧州全般で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、英国はイングランド全域でロックダウン(都市封鎖)を再開しました。期間は11月5日から12月2日の4週間としています。イングランドは英国の経済規模の90%弱を占めるため、10-12月期は再びマイナス成長に陥る可能性があります。
政治リスクから景気リスクへ
英ポンド(以下、ポンド)相場は、11月に入って底堅く推移しています。対円は10月末の1ポンド135円台から137円台へ上昇しています。米国の大統領・議会選挙が終わり、大きな政治リスクが後退したことが市場のリスク許容度を高め、ポンド上昇につながったと見られます。
英ポンド相場を取り巻く注目点は、EU(欧州連合)との通商交渉と米新政権の政策スタンスの、大きく二つに分かれると思われます。EUとの交渉は、現時点では移行期間の期限である年末までに合意に達するとの見方がコンセンサスです。また、成立が確実視されているバイデン政権下で対米関係が改善するとの見方が英ポンドにもプラスに作用していると見られます。しかし、ロックダウンで景気先行き不透明感が強まっており、当面は現状前後のレンジ内で方向感の乏しい展開になると見込まれます。
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