ブラジルの金融政策(9月)~今後の金融政策と為替相場展望
- 政策金利は2.0%に据え置かれました。景気が回復に転じて様子見でしたが、依然追加緩和含みです。
- 景気はリバウンドしつつありますが、その後の景気回復は緩やかで、低インフレが続くと予想されています。
- レアル相場は景気と新型コロナウイルスの感染状況と両にらみで、方向感の乏しい展開が見込まれます。
景気の下振れリスクを警戒
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、9月15-16日のCopom※で、政策金利であるSELIC金利◇を2%に据え置くと決定しました(全会一致)。5月以降景気が回復に転じ、今回は様子見となりました。しかし、声明文では、景気の先行きは依然不透明で緩和余地が残ると述べられています。
景気後退でインフレ率が低迷しています。8月のCPIは、総合は前年同月比+2.4%と、このところ上昇していますが、コアは同+1.3%とさらに鈍化しており、内需の弱さを示唆する動きとなっています。中銀は、2021年以降はインフレ目標のレンジ内に入るものの、中心を下回る推移が続くと想定しています。政策金利は年内据え置き、2021年以降は利上げ方向が想定されていますが、下振れする可能性も有り得るとしています。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódi):決済・預託特別システム
引き続き景気と新型コロナウイルス感染状況との両にらみ
ブラジルレアル(以下、レアル)相場は、景気が回復に転じてきたこともあり、幾分安心感が高まって底堅い推移となっています。8月には1レアル18円台に下落する場面もありましたが、足元は反発し20円前後となっています。
新型コロナウイルスの感染拡大はピークアウトしつつあります。新規感染者数(月間、1日当たり平均)は、8月に4万1738人で最大となりましたが、9月は16日までで3万1216人と減少しています(WHO〔世界保健機関〕調べ)。死亡者数の増加ペースも落ちており、経済活動の活性化が期待されます。レアルの低迷は、全国的なロックダウン(都市封鎖)を実施しない政府の新型コロナウイルス対策に対する評判の悪さも一因にあるため、レアル見直しにつながると考えられます。一方、高水準の感染増加が長引いた場合、景気回復が他国に比べて立ち遅れることにもつながるため、引き続き景気回復と新型コロナウイルスの感染状況と両にらみで、方向感の乏しい展開になると見込まれます。
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