政府は日銀審議委員候補に浅田統一郎氏と佐藤綾野氏を起用

2026/02/26

政府は日銀審議委員候補に浅田統一郎氏と佐藤綾野氏を起用

    • 浅田氏は23年、経済が成長軌道に乗るまで、反緊縮的な財政・金融政策を継続すべきと主張。
    • 佐藤氏も同年、円安は日本にメリット、金融政策は当面現状維持、国債発行はまだ可能と主張。
    • リフレ派2名就任でも政策への影響は限定的、追加利上げ時期は今後の日銀発の情報に注目。

浅田氏は23年、経済が成長軌道に乗るまで、反緊縮的な財政・金融政策を継続すべきと主張

政府は2月25日、日銀の次の審議委員に中央大学名誉教授の浅田統一郎氏と青山学院大学教授の佐藤綾野氏を充てる人事案を国会に提示しました。浅田氏は、1977年に早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、1982年に一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程を単位修得満期退学。駒沢大学助教授、中央大学教授を経て2025年から中央大学名誉教授、同大学経済研究所客員研究員を務めています。

浅田氏の近年の研究活動などは図表1の通りで、各論文において金融政策と財政政策の協調は経済を安定させる上で重要との見解が示されています。また、浅田氏は2023年4月に自民党の財政政策検討本部で講演を行い、日本経済を成長軌道に完全に乗せるまで、反緊縮的な財政と金融のポリシーミックス(政策の組み合わせ)を継続するべきであると主張しました。

佐藤氏も同年、円安は日本にメリット、金融政策は当面現状維持、国債発行はまだ可能と主張

一方、佐藤氏は1992年に日本女子大学家政学部家政理学科、1999年に早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業し、2005年に早稲田大学大学院経済学研究科博士課程を単位取得済退学。内閣府経済社会総合研究所の客員研究員、高崎経済大学教授などを経て2022年4月から青山学院大学教授を務めています。佐藤氏の近年の研究活動などは図表2にまとめました。

近年の論文では、マクロ計量モデルや、安全通貨(日本円・スイスフラン・米ドル)に関する分析がなされており、積極的な財政・金融政策を論じるものではありませんでした。ただ、佐藤氏は2023年2月、「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の勉強会で講師を担当し、①円安は日本経済にとってメリット、②金融政策は当面現状維持で、③埋蔵金の積極運用、④国債発行はまだ可能、と主張しました。

リフレ派2名就任でも政策への影響は限定的、追加利上げ時期は今後の日銀発の情報に注目

浅田氏、佐藤氏とも、市場では財政出動と金融緩和に積極的な「リフレ派」とみられており、人事案の国会提示報道後、日経平均株価と10年国債利回りは上昇、ドル円はドル高・円安が進みました。なお、日銀の金融政策決定会合において、議決は9名(総裁、2名の副総裁、6名の審議委員)の多数決によって行われるため、仮にリフレ派の審議委員2名が就任しても、日銀が利上げに慎重なスタンスに大きく傾く可能性は低いと考えます。

日銀の植田和男総裁は、読売新聞とのインタビュー(2月24日、報道は26日)で、「3月にも4月にも金融政策決定会合がある」、「そこまでに得られる情報を丹念に点検した上で意思決定したい」と述べており、3月、4月の利上げ余地を残したように思われます。追加利上げの時期を見通す上では、2月17日付レポートで示した金融政策に関する重要イベントに改めて注目し、日銀から発信される情報を精査することが必要とみています。

 

(2026年2月26日)

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