トルコ経済の現状(2020年4-6月期GDP)~当面のリラ相場展望

2020/09/01
  1. 実質GDPは前年同期比-9.9%でした。経済活動抑制を受け、個人消費と輸出が大幅に減少しました。
  2. 経済活動は、消費マインドがやや力強さに欠けるものの、5月以降は全般的に回復に転じています。
  3. 外貨繰りは小康状態で市場は幾分落ち着きました。今後は景気回復による外貨準備回復が待たれます。

景気は最悪期脱する

8月31日、トルコ統計局が発表した2020年4-6月期の実質GDPは前年同期比-9.9%、前期比は-11.0%でした。トルコ政府は新型コロナウイルスの感染防止のため3月下旬から5月初めにロックダウン(都市封鎖)を実施しました。外出禁止を未成年と高齢者に限るなど、欧州ほど厳格ではありませんでしたが、個人消費が大幅に減少しました。また、欧州諸国で厳しいロックダウンが実施された影響で、経済関係が深いトルコでは輸出が急減(前年同期比-35.3%)しました。

5月4日以降、ロックダウンが段階的に緩和され、景気は4月を底に回復に転じています。小売売上高、鉱工業生産は、4月に2019年月平均の70%程度まで減少しましたが、6月時点では95%程度まで回復してきています。輸出入はほぼ100%回復しています。景況感は7月の製造業PMIが56.9と大きく回復しています。消費マインドは6月まで大きく回復した後やや伸び悩んでいますが、7-9月は経済活動再開に伴うリバウンドで大幅なプラス成長が期待されます。

まだ要注意

トルコリラ(以下、リラ)相場は、5月初め以降、景気回復期待や中央銀行による通貨防衛の効果もあり反発しました。しかし7月下旬に、キプロス沖のガス田開発をめぐり、EU(欧州連合)との対立が激化したことが懸念されて再び急落。その後も安値圏でもみ合っています。

度重なる通貨防衛のためのリラ買い介入による外貨準備高急減(8月21日時点で2019年末比-44%)が、リラに対する重しになっています。足元は減少ペースが和らいで小康状態にありますが、まだ予断はできず、今後の景気回復による外貨準備の回復が待たれます。

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