米国雇用統計(4月)について~当面の市場展望
- 4月の非農業部門雇用者数は前月比-2053.7万人、失業率は14.7%と、単月の悪化では前代未聞です。
- 経済活動再開で雇用減少には早晩歯止めが掛かるも、元に戻るには時間を要すると見込まれます。
- ドルに余剰感が出つつあります。また、株価はセクター間の差が目立ち、全体底上げには力不足です。
元に戻るには相当の時間を要する
5月8日、米労働省発表の4月雇用統計(速報)では、非農業部門雇用者数が前月比-2053.7万人、失業率は14.7%でした、単月の雇用者数減少幅は1939年の統計開始後断トツの最大(これ以前は1945年9月の同-195.9万人)で、リーマンショック以降の累積で見た雇用者数増加幅のほぼすべてを失いました。失業率は1930年代の世界大恐慌以降では最高でした。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府が経済活動を抑制したための当然の結果であり、景気循環によるものではないことが今回の特徴です。特に人の移動を制限したため、娯楽・接客業や一部の専門小売店は2月からの2ヵ月間で雇用者数がほぼ半減しました。逆に減少していない業種は公共性の高い業種で公務員、金融、公益などがほぼ横ばいでした。
5月に入って一部に経済活動を再開させる動きが出てきており、雇用者数の減少は早晩歯止めが掛かると見込まれます。ただし、州によってバラつきが見られるほか、感染防止のための活動抑制も残ることから、元に戻るには相当の時間を要すると見込まれます。
ドルに余剰感、セクター間で違い目立つ株価
雇用統計の発表を受けた、為替市場、株式市場の反応はドル高、株高でした。市場心理面では「不安で売って、事実で買い戻す」典型的なパターンです。
一方、最近1ヵ月程度の動きでは、ドル安・円高傾向、株価はもみ合いです。ドル・円相場は、パニック的なドル需要がひとまず落ち着いたのに加え、金融、財政政策の規模が非常に大きく、ドルに余剰感が出てきたことが背景と見られます。また、株価については、相対的にヘルスケア、テクノロジー、個人消費関連が強いのに対し、エネルギー、金融、設備投資関連が弱いなど、セクター間で大きな差が出ています。今後の業績への影響を反映した動きになっていると見られ、ここからの全体的な底上げは当面限定的と考えます。
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