ユーロ圏の3月物価・2月雇用について
- 3月HICP総合は前年同月比+0.7%に鈍化しました。経済活動制限で今後コアの鈍化が予想されます。
- 2月失業率は7.3%とユーロ圏での最低と並びました。経済活動の停滞で、今後悪化が懸念されます。
- 新型ウイルスの世界的感染拡大でドル高が一服、ユーロは反発していますが、先行きはまだ不透明です。
サービス鈍化が影響も
Eurostat(EU統計局)が発表した3月のユーロ圏HICPは、総合が前年同月比+0.7%(前月比-0.5)、コアが同+1.0%(同-0.2)でした。総合は原油価格下落でエネルギーが同-4.3%とマイナス幅が拡大したことが影響しました。コアは財、サービスが同+1.3%(同-0.3)となったことが影響しました。サービスは変動が大きいツアー旅行、各種旅客サービスの鈍化が影響したと見られますが、経済活動の制限で当該品目はさらなる鈍化が予想され、コアを押し下げると見込まれます。
2月の前月比-0.1の失業率は7.3%となり、ユーロ圏としては過去最低と並びました。新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する直前まで、景気回復への流れもあって、雇用環境にも一時の足踏みから再び改善の兆しが出ていたことがうかがわれます。しかし、3月以降、ほぼ全欧で経済活動が制限されており、今後、雇用環境は悪化に向かう可能性が高まったと見られます。特に、感染拡大が深刻なイタリア、フランス、ドイツといった、主要国を中心とした悪化が懸念されます。
市場の動揺が収まるにはまだ時間を要する
欧州の資本市場は、経済活動の停滞、それに対する大規模な景気対策などをめぐって思惑が交錯し、動揺しています。過去2ヵ月程度で、ユーロ・ドル相場は1ユーロ1.07~1.15ドルを乱高下しました。また、長期金利は、景気先行き不安と、大規模な財政出動との間でやはり乱高下し、ドイツ10年国債利回りは、-0.8%台から-0.1%台の間で揺れ動きました。こうした中、ドイツが国債を約1500億ユーロ増発し、中小企業支援を行うことを表明したことは、雇用の下支え、デフレリスクの軽減につながり、景気の先行きに対する安心材料です。それでも、現時点ではまだ感染の収束が見えていないこともあり、市場の動揺が収まるにはまだ時間を要すると思われます。
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