ユーロ圏の12月景況感~2020年の景気、市場展望
- 12月のユーロ圏景況感指標は、一部に弱さが残るものの、持ち直しを示唆する動きも出てきました。
- 2020年は、金融緩和の効果によって特に年後半は景気回復傾向がより明確になると見込まれます。
- 景気回復によって金利低下観測は後退し、ユーロは底堅く推移し、企業業績の改善も期待されます。
PMI以外は回復が鮮明化
ユーロ圏の12月の景況感は、一部に弱さが残るものの、下げ止まりから持ち直しへの改善を示唆する動きが出てきました。IHS Markitが発表したPMI(総合)は、前月比横ばいの50.6でした。うち、製造業が同-1.0の45.9、サービス業が同+0.5の52.4と明暗が分かれ、回復にもたつきが見られました。一方、CESifoが発表したドイツ企業景況感指数(ifo指数)は、前月比+1.2の96.3と、2ヵ月連続の上昇となり、ドイツ景気の下げ止まり感がより鮮明になったと見られます。CESifoは、2020年は景気に対する信頼感がより高まる方向にあるとコメントしています。
また、ZEW指数※(期待)は前月比+12.2の+11.2(8ヵ月ぶりのプラス圏)、センティックス経済信頼感指数☆(総合)は同+5.2の+0.7(7ヵ月ぶりのプラス圏)と、大幅に上昇しました。市場参加者が、ユーロ圏の景気の先行きに対して明るい展望を持ち始めたと見られます。ユーロ圏の景気は、依然として景気減速傾向にあります。しかし、ECB(欧州中央銀行)をはじめ、世界各国で金融緩和が進められてきた効果により、年明け後は次第に景気回復が現実味を帯びてくると見込まれます。
※ZEW指数:ドイツの調査機関ZEW(欧州経済研究センター)がアナリスト、機関投資家、市場関係者に対するアンケート調査を基に算出
☆センティックス経済信頼感指数:ドイツの調査会社センティックス社が個人投資家、機関投資家に対するアンケート調査を基に算出
市場は景気回復による投資環境改善を反映へ
ユーロ相場は、このところ底堅く推移しています。英国の欧州連合(EU)離脱問題や米中通商交渉に方向性が見えてきたため、安心感から、ドル高(ユーロ安)の修正が進みました。今後は、景気回復期待の高まりで金利低下観測が後退し、ユーロには支援材料になると考えます。また、政治リスク軽減に加えて企業業績改善も期待され、株価に対する支援材料になると考えます。
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