日銀短観12月調査について~消費税増税後の景気展望

2019/12/13
  1. 業況判断DIは総じて低下しました。中堅・中小企業が深刻で、消費税増税後の景気は厳しい状況です。
  2. 今年度の収益環境はより厳しい状況になった一方、設備投資は中小中心に底堅く、上方修正されました。
  3. 景気後退の一歩手前になっているものの、景気対策等の効果もあり、底割れは回避されると考えます。

非製造業底堅いが全体的に景気減速深化

本日、日銀が短観(全国企業短期経済観測調査)を発表しました。注目される大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査(9月)比-5の0でした。前回調査のDI(先行き)の+2を下回り、業況が想定以上に悪化しました。一方、非製造業が底堅く、大企業は+20で前回調査比-1にとどまりました。

製造業の不振が目立つ一方で、内需系産業が多い非製造業が底堅いのは相変わらずですが、全体的には景気減速の深化が示されたと見られます。消費税増税直後の調査としては、不連続な業況悪化は特に見られませんでしたが、先行きの状況を見る限り、増税の影響が、今後徐々に広がっていくことが示唆されたと考えられます。ただし、製造業については、最近から先行きにかけての業況悪化が比較的小さく、こちらは世界の景気が底堅くなってきていることを示しているとも考えられます。

崖っぷちの景気だが・・・

経常利益、設備投資の計画(全規模全産業)に目を移すと、経常利益は前回調査比-0.8の-7.5%と悪化したのに対し、設備投資は+3.3%と同+0.9で堅調でした。経常利益計画の3回連続下方修正は2016年度以来3年ぶりです。当時は円高進行に伴うものでしたが、今回は純粋に景気減速が反映されたと見られます。設備投資は中小企業の上方修正が目立ち、人手不足対策のための省力化投資が底堅いことがうかがわれます。

現状の企業の景況感から、日本の景気は後退の一歩手前にあり、今後も消費税増税の影響が徐々に広がってくることを考えると楽観できません。一方、海外では、金融緩和の景気刺激効果が出てくる兆しがあり、製造業中心に企業業績が回復する芽も出てきています。また、年明け後は政府が策定した景気対策による下支えも期待され、景気底割れは何とか回避されると考えます。

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