英国経済動向と今後の見通し~2019年7-9月期GDPより
- 実質GDP成長率は前期比年率+1.2%と2期ぶりのプラスでした。景気後退は回避されました。
- 投資項目がマイナス寄与で企業活動が低迷した一方、消費が伸び悩みながらも下支え役となりました。
- EU離脱後も低成長が予想されますが、英ポンドは政治リスクの減退を期待して底堅いと考えます。
企業活動の委縮目立つ
11月11日、ONS(英国家統計局)が発表した2019年7-9月期の実質GDPは、前期比年率+1.2%でした。2期ぶりのプラス成長となり、景気後退(2期連続前期比マイナス)は回避されました。
前期比年率に対する寄与度は、最終消費が+1.3%と、プラスながら今年最低の寄与度にとどまりました。一方、固定資本投資が-0.2%、在庫投資が-4.7%と投資項目がマイナス寄与でした。純輸出(輸出-輸入)は+4.8%でした。輸出の増加が寄与しました。全体的に見ると、企業活動が、EU(欧州連合)離脱後の経済環境が読み切れずに委縮しているのを、消費と輸出が下支えした形です。
英国景気は現時点では低成長が続くと予想しています。EU離脱後の制度変更や資本の対外流出などによる経済活動の混乱に加え、世界的な景気減速も影響すると考えられます。しかし、EUに対する姿勢が固まれば、見送られていた企業投資などが再開されることも考えられます。
景気回復が加わればポンド上昇余地拡大
ポンド相場は、合意なきEU離脱への不安感や米中貿易摩擦再燃などから夏場は下落傾向が顕著となり、9月には1ポンド1.2ドルを割り込みました。その後は急反発し、1ポンド1.3ドルを一時回復しました。対円相場は126円を底に、足元では140円近辺となっています。
12月12日に総選挙が実施されることとなり、保守党の優勢が伝えられる中で、合意の上でのEU離脱の現実味が増していると見られます。実際、10月17日に英国とEUとで合意に達した離脱協定案が実現すれば、上記のように委縮していた経済活動が再開される可能性もあります。長らくくすぶっていた政治リスクが大きく減退するとともに、景気回復がより鮮明化する展開になった場合、ポンドは上昇余地が拡大することも考えられます。
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