年末株高「掉尾の一振」はあるか?
今週の国内株市場ですが、これまでのところ軟調な展開が目立っています。先週までの日経平均は2万円の大台乗せが焦点となっていましたが、10日(木)の取引開始前では、シカゴ日経平均先物取引の清算値を受けて19,000円割れが意識されるなど、週を跨いで相場のムードに変化が感じられます。
先週末のイベントの状況を整理してみますと、まず、12月3日(木)のECB理事会、翌4日(金)の米雇用統計とOPEC総会などが注目されました。まず、ECB理事会では、預金ファシリティ金利のマイナス金利拡大や資産買い入れ期間の延長、買い入れ資産に地方債も対象に含めるなどの追加金融緩和が決定されましたが、市場が期待していた資産買い入れ額の増加が見送られたことで市場はネガティブに反応しました。また、米雇用統計が強い結果となり、来週のFOMCでの利上げがほぼ確実視されたことや、OPEC総会では減産が見送られて原油価格がリーマンショック時依頼の安値をつけています。
とりわけ、米利上げについては、これまでの「利上げ実施の影響を懸念する視点」から「利上げ実施ができる米経済という背景を好感する視点」に変わってきたと指摘しましたが、米雇用統計とOPEC総会の結果は、新興国や資源国にとって、資金流出懸念と資源価格下落のダブルパンチとなる可能性があり、再び利上げ実施の影響を懸念する視点にシフトしてきた可能性があります。ですので、足元の相場は9月末からの上昇がストップし、いったん調整局面に入ったと考えることができそうです。今週末のメジャーSQを控えた思惑も、株式市場の値動きを荒っぽくさせていると思われます。
来週のスケジュールは、来週の米FOMC、日銀会合が予定されていますが、これらのイベントが通過した後はいよいよ「年末モード」に突入します。毎年この時期になると、「掉尾の一振(とうびのいっしん)」という言葉が場況コメントなどに登場する機会が増えます。掉尾の一振とは、年末にかけて株高となる一種のアノマリーです。実際、2012年以降はその傾向通りになっており、当然、今年も目先の調整が一巡して、再度株価が戻ってくることが期待されます。
国内に目を向けると、今週は7-9月期のGDP(2次速報値)が発表され、予想を上振れる結果となり、国内景気への不安がひとまず後退しているほか、年明け早々の1月4日からは通常国会が開催され、7月の参院選をにらんで、経済政策への期待も想定されるため、確かに年末株高シナリオは的外れではないと思われます。
ただし、注意したいのは需給要因です。今週9日(水)に東京証券取引所が発表した、裁定取引に伴う現物株の買い残高(期近・期先合計)は10週連続で増え、3兆6,306億円まで積みあがっています。これは今年の6月以来の水準です。当時の日経平均は21,000円近くまで上昇していました。その後の夏場の相場急落はまだ記憶に新しいですが、積み上がった裁定買い残の解消売りが下落に勢いをもたらした面があります。今回も、9月から2カ月あまりで裁定買い残が1.7兆円以上も急増しているだけに、思ったよりも調整が深くなる可能性があるため、警戒が必要と言えそうです。
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