「買い騰がる」材料待ち

祝日を挟んだ今週の国内株市場ですが、その祝日明けとなった12日に日経平均が昨年12月8日以来となる18,000円台水準まで値を戻してきました。

為替市場でドル円が久々に120円台まで円安が進んだことと、支援をめぐるギリシャ新政権とEU側の交渉について、「現行の枠組み維持で合意するのでは」との報道をきっかけに警戒感が後退したことなどが材料となった模様です。また、今週金曜日(13日)が、日経225オプション・mini先物のSQ日ですので、需給絡みの要因も株価を押し上げた可能性があります。

冒頭でも触れましたが、日経平均は昨年の12月8日以降、18,000円台に乗せきれず、上値の重たい展開が続いています。

昨年12月から株高や円安のブレーキ役となっていた要因として、①ギリシャ情勢への警戒、②米景気と利上げ観測の動向、③原油価格の下落、④世界的な金融緩和競争、⑤世界景気への不安、⑥地政学的リスクの高まりなどが挙げられますが、12日の株価上昇は①と②に対して楽観的な見方が強まったことによるものと考えられます。

一方で、国内企業の決算発表も佳境を迎えつつありますが、円安による企業業績期待を背景とした株価を押し上げる推進力も、これまでのような積極性は薄れてきている印象で、ブレーキ役を降板させるほどの材料にはなっていません。

また、ギリシャ情勢への警戒が後退するきっかけとなった報道ですが、あくまでも11日に開催された臨時のユーロ圏財務相会合を受けてのものですので、実際のところは、16日に開催される本番の会合で何らかの決着があるかどうかを待つことになります。そして、先週末の強い米雇用統計を受けた米国の利上げ観測につきましても、イエレン議長の議会証言がこれから控えており、現時点で利上げに向けたスケジュール感などが決まっているわけではありません。

そのため、足元の相場環境は、先ほどの①~⑥の不安材料の後退、もしくは新たな買い要因の出現など、上値の抵抗となっている18,000円を超えて上値を「継続的に」買い騰がる材料を待っている状況と言えます。不安材料は主に海外情勢に左右されるものが多いですが、国内につきましては、来週月曜日(16日)に発表を控える10-12月期の国内GDPが強い結果となるか、また、TPP交渉や農協改革など、アベノミクスに進展が見られるかなどが注目されることになります。

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