11月11日「独身の日」

2014/11/06

世界中の視線を集める中、9月19日に米国株市場に上場を果たしたアリババグループですが、今週は上場後初となる2014年7-9月期の決算発表がありました。売上高が前年同期比で54%増という結果となり、同日の株価も上場来高値を更新するなど、好感される動きとなりました。

アリババは中国の電子商取引最大手ですが、その中国では来週、11月11日という注目の日を迎えます。日本では「ポッキー&プリッツ」の日ですが、中国では「独身の日(光棍節)」とされ、ネット通販各社が一大セールを行う日として近年定着しています。

「光棍」とは、中国語で「木の樹皮を剥いで作られた棍棒」のことで、加工された木は枝や葉を生やすことができない、つまり子孫を残せないという連想から独身を意味します。また、1の数字が揃うこの日は、棒が4本並んでいるように見えることから、独身の日となったそうです。もっとも、国家が定める祝日でも記念日でもなく、1990年代に南京の学生から広まったものと言われています。

では、なぜ独身の日がネット通販のセール日になったのかというと、実はその仕掛け人はアリババグループ自身でした。「独身はデートなど、外出や出費の予定もないだろうから、せめてネットで買い物でもしてもらおう」という、やや上から目線的な発想で、2009年に独身層をターゲットにした大幅値引きのセールをこの日に始めたのがきっかけです。これが大当たりで、他の業者も追随するようになったほか、独身・既婚を問わず、今や「双一商戦」と呼ばれるほどの商戦イベントになっています。

アリババが報告したところによると、傘下のネット通販サイトである、「天猫(Tモール)」と「淘宝網(タオバオ)」の昨年(2013年11月11日)の販売額は約352億人民元(現在の日本円で約6,500億円)となりました。米国のブラックフライデーとサイバーマンデーを合わせても、その倍以上の規模ですから、単なるセールという言葉で片付けられないものがあります。

ちなみに、同日のアリババのネット通販サイトに出店している店舗の売上げトップ10の中に、ユニクロがランクインしていますが、ユニクロを展開するファーストリテイリングは2012年4月から天猫(Tモール)に出店しています。また、ファーストリテイリングは今週5日(水)に国内ユニクロの既存店売上高を発表し、前同月比で10.5%増となりました。この結果を受けて、翌6日(木)の株価は上昇してスタートしましたが、来週は中国のこの一大セールイベントの動向が同社株の株価材料になるかもしれません。

 

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