「だろう」スタンスと「かもしれない」スタンス

2014/07/18

今週の日経平均は先週の下げ幅を取り戻すような動きを辿ってはいるものの、節目の15,500円になかなか乗せきれないほか、東証1部の売買代金も相変わらず2兆円割れが続くなど、盛り上がりに欠けています。また、今週は日銀の金融政策決定会合のほか、米国企業の決算発表が本格化し、イエレンFRB議長の議会証言や中国のGDP発表など、国内外で注目のイベントが盛りだくさんでした。

その割には、これらのイベントに対するマーケットの反応は控えめな印象となっています。「様子見ムードが強かった」と言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、これらのイベントに対してどういうスタンスで臨んでいたのかに注目してみたいと思います。

少し話が逸れますが、自動車免許の講習等で、「だろう運転」と「かもしれない運転」についてよく耳にします。「こどもが飛び出してこないだろう」ではなく、「こどもが飛び出してくるかもしれない」と想定して運転したほうが事故防止につながるというあれです。

このような視点で今週のイベントを眺めてみると、日銀の会合については、「金融政策の現状維持と今後の景気・物価見通しなどに大きな変化はないだろう」、イエレンFRB議長の議会証言については、「以前に口を滑らせて失敗した経緯があるので、慎重な言い回しになるだろう」、中国のGDPについても「最近の李克強首相の強気な発言もあり、予想の前年比+7.4%を大きく乖離することはないだろう」というように、マーケットは「何かあるかもしれない」という警戒スタンスよりも、「大きな波乱はないだろう」に近いスタンスでイベントを迎えていたと思われます。

今週のイベントについて、「かもしれない」スタンスが強ければ、イベントを無難に通過したアク抜け感で買いの勢いが強まる展開も考えられたのですが、「だろう」スタンスの方が強かったため、ほぼ想定通りとなった結果を確認したに留まり、市場の反応もさほど積極的にならなかったと考えられます。ただ、米株市場では好業績となったインテルなどの決算を材料にNYダウが最高値を更新していることもあり、これから本格化する国内企業決算発表への注目は高まりそうです。

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楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
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