結果的にスルーだった中国の経済指標
今週の水曜日(4月16日)に中国で1-3月期のGDPの発表がありました。期末から2週間ちょっとのスピードで発表されるため、指標に対する信頼性等の議論はありますが、今回は特に注目を集めていました。というのも、全人代で発表された7.5%水準の成長率目標の達成が難しいと言われている中、大規模な景気刺激策への期待が膨らんでいたためです。すでに、鉄道関連の投資額の増加や、中小企業への税優遇などの方針が打ち出されています。
ただ、先週10日には、李克強首相が「短期的な景気刺激策はとらない」と発言する一方で、「経済成長を合理的な範囲内に維持することは中国の基本的な政策スタンス」とも述べているほか、仮にGDPの結果が悪かった場合、「政策期待で買いなのか、政策を催促する売りなのか?」、良かった場合でも、「素直に好感して買いなのか、政策期待の後退で売りなのか?」など、指標の結果をどう読み解くか判断しにくいこと自体が注目を集めたとも言えます。
結局、発表されたGDP成長率は前年比で+7.4%となり、目標としている+7.5%や前回(+7.7%)は下回ったものの、予想(+7.3%)は上回り、微妙な結果となりました。
ちょうどこの日(16日)は、日経平均が今年2番目の上昇を見せたほか、欧米株市場も上昇し、NYダウは最高値を更新しました。とはいえ、当の中国株市場は上海総合指数が0.11%の上昇、香港ハンセン指数が0.17%上昇のほぼ横ばい圏にとどまっており、各株式市場の直接的な上昇材料にはなっていないようです。もっとも、中国の景況感に対する過度な警戒が後退したことは好感されたようですが、景気刺激策への期待については判断できず、とりあえずスルーされた格好になったと考えられます。
結果的に「懸念されているほど悪くない」印象となった今回のGDPですが、前期比では+1.4%と2四半期連続で減速傾向になっており、必ずしも楽観できる状況ではありません。また、規模の小さいプチデフォルトが相次いでおり、リスクシナリオは引き続き燻っています。
いわゆる中国の「デフォルトリスク」について懸念されている、理財商品や信託商品、社債などの商品は、かつてのサブプライム商品と異なり、レバレッジが効いていない点や、世界の金融システム内に拡散していない点から、影響は限定的にとどまるとの見方もありますが、逆を言うと、中国国内で完結しているが故に、ひとつの綻びが連鎖的に反応してしまい、歯止めが利かなくなる展開につながりかねません。今一度、今回の指標結果を冷静に受け止める必要がありそうです。
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