日銀短観の結果と追加金融緩和期待の買い
消費税が5%から8%へ引き上げられた4月1日に、日銀から全国企業短期経済観測調査、いわゆる「日銀短観」が公表されました。その結果は、足元のDI(業況判断を指数化したもの)が、大企業の製造業で17となり、2007年12月調査以来の高水準となりました。さらに、非製造業については24で、1991年の調査まで遡れるぐらいの高水準でした。
とはいえ、今回注目されたのは、消費増税後の影響を見極めるため、3カ月先の見通しを示す先行きのDIの方です。こちらはそれぞれ、8と13になりました。足元のDIの結果に比べると数値が小さく、「今のところは堅調だが、先行きについては慎重」ということぐらいは何となく掴めます。
ご存知の方には釈迦に説法ですが、日銀短観の結果をざっくり理解するには、前回分の結果と比較することが必要です。例えば、前回(昨年12月に発表)分の大企業製造業のDIは、足元が16、先行きで14でした。足元のDI同士の単純比較では、16→17への1ポイントの改善なのですが、実は、前回の先行きと今回の足元を比較することの方が重要で、先行き14の見通しだったのが実際は17で、蓋を空けてみたら3ポイント上回っていたということになります。同様に、非製造業で見てみると、前回の見通しよりも7ポイント上回る結果でした。
そして、次に今回の足元DIと先行きDIを比較します。大企業製造業は17→8へと、8ポイント低下し、非製造業では24→13へと、11ポイント低下しています。つまり、今回の日銀短観の結果からは、前回見通しからの上振れよりも、今後の落ち込み見通しの方が大きく、企業は消費増税後の影響を慎重に捉えていることが分かります。日銀短観では業種ごとのDIも公表していますが、先行きの落ち込みが大きいのは、自動車(38ポイント低下)、小売(29ポイント低下)、宿泊・飲食サービス(17ポイント低下)、建設(11ポイント低下)などです。
その消費増税の影響について、先週までは「駆け込みの反動で落ち込んだ後、予算執行の前倒しや政策期待などで持ち直す」というシナリオが大半でしたが、その落ち込みと持ち直しの程度については見方が分かれていたため、株式市場は方向感が出にくく、もみ合いの動きが目立っていました。
今回の日銀短観の結果を受けて、「消費増税の影響は意外と大きいかも」という見方が強まった印象ですが、4月に入ってからの日経平均は節目の15,000円台を回復する場面があるなど、今のところ堅調に推移しています。先行きへの不安が微妙に高まったことで、日銀の追加金融緩和が前倒しされる観測が相場を支えている可能性が高いと考えられます。その日銀では来週(7日~8日)に金融政策決定会合が控えており、会合後の黒田総裁の会見も含めて注目度が高まったと言えます。
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