なかなか出てこない「継続的な買い」

2014/03/14

3月に入ってからの国内株市場は、今週末のメジャーSQが意識されているせいもあり、荒っぽい動きが続いています。特に今週に入ってからは、水曜日(12日)に日経平均が前日比で393円の大幅下落となり、節目の15,000円台も下回りました。

もっとも、前週の値動きを振り返ってみると、週間の値幅(高値と安値の差)は870円近くあり、ウクライナ情勢など地政学的な不安の高まりによる下落幅が約400円でしたから、残りの約470円の上昇分を打ち消しにいったと考えれば、ひとまず、ウクライナ不安が高まる前の2月末の水準(14,841円)に戻っただけと見ることもできます。

2月下旬の当コラムでも触れましたが、株価がある程度下がれば買い戻しが入るものの、買い上がる材料が揃わない、もしくは持続性がないため、上値を追えないという状況にあまり変化はないようです。需給面でみれば、日本株の継続的な上昇には、昨年に15兆円を超える買い越しだった外国人投資家による買いがポイントとなりますが、週間ベースの投資部門別売買動向では、その外国人は今年に入ってからずっと売り越しが続き、2月最後の2週間でようやく買い越しに転じています。3月もこの流れが継続できるかが注目です。ちなみに月間ベースでは1月・2月ともに外国人は売り越しでした。

逆を言えば、外国人が日本株を売っていた要因を整理することで、株価上昇の条件やヒントが探れそうですが、海外要因と国内要因に大きく分けることができます。まず海外要因としては、寒波の影響の見極め段階に入っている米国の景気状況や、同じく米国の金融政策の動向、現在小康状態ではあるものの解決の糸口がまだ見えないウクライナ情勢、景気減速やシャドーバンキング等の問題を抱える中国などが挙げられます。ただ、これらは日本株に限らず、世界の株式市場の地合いに関わる要因でもあります。

一方の国内要因については、昨年末の安倍首相の靖国参拝による一部周辺国との関係悪化や、4月の消費増税後の影響、日銀の追加緩和期待の後退、具体的な進展が見られないアベノミクスへの期待収縮などが考えられますが、やはりカギとなるのはアベノミクスの進展と言えます。

もちろん、先週は国家戦略特区に関する報道があったり、今週も12日の2014年労使交渉の集中回答日で賃上げ回答となった企業が多かったりと、全く動きがないわけではありませんが、戦略特区については以前から認識されていたものですし、賃上げについても政治的圧力による印象の方が強く、来年以降も景気回復を背景とした賃金上昇というイメージが描ききれず、株価ともに今のところ継続性が感じられないことが、市場の反応がイマイチとなっている理由と考えられます。

 

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