「忘れた頃のギリシャ不安」再び?
24日(水)の為替市場でユーロの動きがやや大きくなる場面がありました。
ユーロ圏の10月PMI総合指数(速報値)が3年4カ月ぶりの低水準だったことや、ドイツのIFO企業景況感指数も2010年2月以来の水準に落ち込むなど、この日に発表された欧州の経済指標が軒並み悪化したことでユーロが売られ、対円で103円の大台割れとなる場面も見せましたが、その後は再び103円台の半ばまで買い戻されました。
ユーロが買い戻されたのは、ギリシャに対する不安が後退したことです。現在、債務問題をめぐって、支援される側のギリシャと、支援する側のトロイカ(EU、ECB、IMF)との間で協議が進められているのですが、懸念となっていた、同国への財政支援の継続と、財政再建目標の期限を2年間延長する方向で話がまとまるのではないかという観測が広がりました。
話を少し遡ると、今年2月に開かれたユーロ圏財務相会合でギリシャへの2次支援が合意された際、ギリシャは財政再建に向けた取り組みを強化し、2014年までに財政赤字額をGDPの3%以内まで減らすことがその目標条件となりました。
ただし、その後ギリシャは、「目標条件の期限を2016年まで2年間延長してくれないか」と言ってきたわけです。ギリシャ側の理屈としては、「ウチは財政再建に向けて真面目に取り組んでいるが、想定以上に景気の落ちこみが大きいため、当初の目標達成が困難になっている」というものです。とはいえ、連立政権による基盤の弱さもあって、思うように資産の売却や労働市場などの構造改革が進んでいないもの事実です。
目標達成という約束が守れない以上、支援する側としても無駄に資金を供給するわけにもいかず、IMFなどはギリシャに対する融資をひとまずストップさせている状況です。このままいくと、11月の16日にはギリシャの資金が枯渇するとも言われています。
来週、ギリシャ議会では、総額135億規模の財政緊縮法案や構造改革に関する法案が採決される予定なのですが、それらの法案の内容が支援する側にとって納得できる内容であれば、融資の再開・継続と目標達成期限の2年延長が認められることになるため、現在、法案の内容についてギリシャとトロイカとの間で協議していて、いよいよ大詰めの段階というわけです。
このまま行けば、ギリシャ支援の再開・継続と目標期限が延長となる見通しのため、ギリシャに対する不安は一旦遠のく格好になりそうですが、注意が必要なのは追加資金についての支援がないことです。つまり、期限が2年先送りされた分だけ資金が必要になるわけですが、この不足分の資金を誰が負担するのかという問題が生じます。今後、この負担をめぐって一悶着がある可能性があり、ギリシャへの不安が再び相場のテーマになるかもしれません。
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