ホープ<6195> 増員による売上拡大と相次ぐ新サービス投入の二面展開の動向に注目
財源確保支援を中心に自治体に特化したサービスを提供する会社
増員による売上拡大と相次ぐ新サービス投入の二面展開の動向に注目
業種:サービス
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・ホープ(以下、同社)は、自治体の財源確保支援を中心に、自治体にま つわるサービスを提供する会社である。財源確保支援には、遊休スペー スを広告媒体とする DS(デッドスペース)サービスと、自治体のために無 料で冊子を制作する MC(メディアクリエーション)サービスがある。
2.財務面の分析
・10/9 期~16/6 期(14/6 期に決算期変更)は、自治体契約件数の積み上 がりで年平均41.5%の増収となった。経常利益増益率は同94.4.%だった が、人件費の増加や低採算案件の発生等で、3 期連続減益も経験した。
・広告スペース販売を収益源として、地域行政情報誌や無料情報紙を発 行する上場企業と比較すると、同社の成長性や自己資本利益率の高さ が目立つ一方、安全性に関する指標では総じて他社を下回っている。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、「自治体の財源確保」を事業領域に設定した ことにある。自治体が持つ遊休スペース活用という仕組みが構築され、そ れが自治体に受け入れられていく過程で、関係資本に属する自治体と の取引実績、組織資本に属するノウハウが積み上がっていった。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、DS サービスに偏りすぎない事業ポートフォリオの 構築、短期的には成長持続のための増員と人材育成、中長期的には労 働集約型のビジネスモデルからの脱却が挙げられる。
・同社は、売上高の成長を重視し、DS サービスの収益性向上、MC サー ビスの多面的展開、情報プラットフォームの進化を成長戦略としている。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、ビジネスモデルの弱みを克服するために新 たなビジネスモデルが創出される状況が、同社が志向する「自治体に特 化した総合サービス化」につながると考える。同時に、増員により売上規 模の拡大を図る局面だが、組織が対応しきれずに疲弊する可能性もある ため、ここをどのように乗り越えるかに注目したい。