菊池製作所<3444> 業績は厳しい局面にあるが、装着型筋力補助具「マッスルスーツ」の事業展開に注目したい
顧客の試作品や金型、量産品の製造を行う総合ものづくり支援企業
業績は厳しい局面にあるが、装着型筋力補助具「マッスルスーツ」の事業展開に注目したい
業種:金属製品
アナリスト:大竹 喜英
1.会社概要
・菊池製作所(以下、同社)は 1970 年創業の、顧客の試作品や金型、量産品の製造を行う総合ものづくり支援企業である。
・自社製品の開発と新たな成長事業を模索し、装着型筋力補助具「マッスルスーツ」の開発と量産をスタートさせている。
2.事業展開と業績
・携帯電話やスマートフォンなどの試作品を中心に、精密機器や事務機器関連の試作品や金型の受注が苦戦を続けている。
・試作品や金型、量産品の苦戦で、同社は 3 月 9 日に 15/4 期連結業績予想を売上高 5,515 百万円(前期比 0.1%増)、営業損失 222 百万円に下方修正し、当期純利益は東京電力からの原子力損害賠償補償金の受取で 200 百万円(同 26.5%増)となる見通しを発表した。
・今年に入って「マッスルスーツ」の本格量産がスタートしたものの、利益への貢献は 16/4 期以降になると予想される。
3.非財務面の分析
・組織や技術面では地味ながら「匠の技」があり、組織運営もしっかりしている。大学や研究機関と共同研究を積極的に進めており、政策にも合致している「マッスルスーツ」など新規事業の成果を見守りたい。
4.経営戦略
・同社は競争力の強化、技術の研鑽、新規事業の創出、人材の確保、育成に注力する方針である。
5.アナリストの評価
・堅実で適切な経営戦略を実行しているものの、試作品や金型の事業は精密機器や事務機器業界の研究開発費抑制や生産拠点の海外移転などが原因で厳しい状況が続いており、短期的な業績回復は難しい。
・政府がロボットによる産業革命を打ち出したこともあり、「マッスルスーツ」など新規事業の成長及び収益増加が期待される。
・補償金や助成金依存が続き、短期的には業績回復や株価の上昇は難しいと判断する。ただし、ロボット関連産業は成長が期待されるため、中長期的な視点で同社に注目すべきと考えている。