MIC(300A)販促物共同配送サービスで獲得した配送委託顧客へのクロスセルで成長目指す
リテール企業等の販促活動を効率化する多様なサービスを一気通貫で提供
販促物共同配送サービスで獲得した配送委託顧客へのクロスセルで成長目指す
業種:サービス業
アナリスト:鎌田良彦
◆ リテール企業等の販促活動を効率化する「360°フルサービス」を提供
MIC(以下、同社)は、コンビニエンスストアやドラッグストア等のリテール企業や通信、IT、金融等のサービス企業、及びリテール店舗経由で製品を販売するメーカー等の販促活動を効率化、最適化する「リテール販促360°フルサービス(以下、360°フルサービス)」を提供している。
360°フルサービスでは、商品パッケージや販促資料の企画・デザインから販促材料の製造・印刷、物流拠点でメーカー販促物をリテール企業の個別店舗向けに仕分けして配送、販促物の在庫管理や発注のためのクラウドシステムの提供等を一気通貫で提供している。
360°フルサービスのサービスとしては、以下のものがある。
① 小売店舗での販促物の有効活用策を含む、店舗オペレーションの改善コンサルティング
② 業務システム開発やデータベース構築等のシステム開発
③ デザイナーや営業の顧客常駐、キャンペーン事務局代行等のBPO注1
④ 販促のデジタル媒体や印刷物等のクリエイティブデザイン
⑤ 販促物の印刷、加工等のものづくり
⑥ 販促物の個別仕分けや配送/共同配送, 在庫保管等のフルフィルメント
⑦ 小売店舗を回り陳列等を行う人員の派遣等のフィールドサポート
顧客企業は、これらのサービスの中から自社の業務に合わせて必要なサービスを利用する。
360°フルサービスの提供とともに、リテール企業とリテール企業に製品を販売するメーカーを繋ぎ、双方の販促活動を効率化する戦略サービスとして、ドラッグストア向け販促物共同配送サービスCo.HUBと販促DXクラウドサービスPromOS(プロモス)に注力している。
◆ ドラッグストア向け販促物共同配送サービス(Co.HUB)
ドラッグストア向け販促物共同配送サービス(以下、Co.HUB)は、従来、ドラッグストアに販促物を送る際に、メーカー各社ごとにドラッグストアのそれぞれの店舗に送っていたものを、メーカーからの販促物を同社の物流センターに一度集約し、ドラッグストア店舗ごとに必要な販促物の種類や数に応じて仕分け、包装し、複数のメーカー分の販促物を1つに梱包して、原則週一回、共同配送するサービスである(図表1)。収益は、販促物の配送を委託するメーカーから得ている。
22年7月に東京都八王子市に同サービスの物流センターとして「はちフィル(八王子フルフィルメントセンター)」を開設して、サービスを開始した。同サービスにより、メーカーは販促物配送業務の効率化と物流費の削減が可能になり、ドラッグストアでは、店舗での販促物の受取り負担を減らすとともに、梱包した段ボール箱に販促物の内容が表示されることで販促物の利用度が上がり、販促物や段ボール箱の廃棄削減につながっている。
24年10月末時点で、20のドラッグストアチェーンが導入しており、共同配送可能なドラッグストア店舗は10,572店舗と、全国のドラッグストア店舗の54%を占めている。また、販促物の配送を委託するメーカーは、約300社となっている。
◆ 販促DXクラウドサービス(PromOS)
販促DXクラウドサービス(以下、PromOS)は、販促活動の基幹システムとして「360°フルサービス」に含まれる販促業務の指示や進捗確認等ができるSaaS型のクラウドサービスであり、リテール企業、メーカーの双方が利用している。顧客毎のカスタマイズにも対応している。PromOSの利用は、同社の物流センターと倉庫の利用を原則としている。
PromOSを導入することで、従来、別々のサプライヤーに依頼していた販促物の作成発注、在庫管理、出荷指示等の一元管理ができるようになり、業務の効率化とともに、販促物の適正量の発注や製造が可能になる。具体的な機能としては以下のものがある。
① Click So-ko:オンラインで販促物の在庫確認、出荷依頼、利用実績の確認等が行える在庫管理システム
② Edition Now:オンライン上で販促物デザインの編集や印刷発注が行えるデザイン編集・発注システム
③ Tool Counter:メーカーが複数の営業所や店舗に送る販促物の発注数量をオンライン上で自動集計するシステム
④ Promo Store:リテール店舗が販促物の追加発注依頼をオンライン上でメーカーに対して直接行えるシステム
◆ 売上内訳と主要販売先
同社は「リテール販促360°フルサービス」事業の単一セグメントであるが、売上高を顧客属性別に、サービス、リテール、メーカーに分けて開示している。
24/3期の売上高構成比は、サービスが27.5%、リテールが39.1%、メーカーが33.3%であった(図表2)。
サービスは、通信、IT、金融であり、図表3の主要販売先の楽天グループ(4755東証プライム)傘下企業のうち通信、IT、金融関連企業向けがほとんどを占める。
リテールはコンビニエンスストア、外食チェーン等が含まれる。ドラッグストア向けCo.HUBの収益は配送を委託するメーカーから得ているが、顧客属性別売上高ではリテールに分類されている。
メーカーは、主にリテール業界向けに製品を提供する消費財、美容コスメ、医薬品、食品等の製造企業であり、主要顧客としては、日清食品ホールディングス(2897東証プライム)傘下の日清食品等がある。
主要販売先の楽天グループ各社向け売上高は、携帯ショップを運営する楽天モバイル、決済サービスを提供する楽天ペイメント、楽天カード向けが多い。ファミリーマート(東京都港区)向け売上高は、販促物パッケージの制作や店舗のデジタルサイネージのコンテンツ作成、販促物の配送まで幅広いサービスの提供からなる。販促物の配送では、各店舗の状況に合わせた仕分け・梱包を行った上で、毎週約11,000店舗への配送を行っている。