ユカリア(286A)経営支援を行う提携医療法人の増加と提供サービスの拡大で成長を目指す
病院の経営支援を中心に介護施設の紹介・運営等のヘルスケア関連事業を展開
経営支援を行う提携医療法人の増加と提供サービスの拡大で成長を目指す
業種:サービス業
アナリスト:鎌田良彦
◆ 病院の経営支援を中心とするヘルスケア関連事業を展開
ユカリア(以下、同社)グループは、同社と連結子会社10社、非連結子会社5社、持分法非適用関連会社5社で構成され、ヘルスケア関連事業を行っている。事業セグメントとしては、経営難に陥っている病院の経営支援を行う医療経営総合支援事業を中心に、介護施設の入居相談・施設紹介と介護施設の運営を行うシニア関連事業、コンタクトレンズの製造・販売を行う高度管理医療機器事業を展開している。
23/12期の売上構成比は、医療経営総合支援事業が29.9%、シニア関連事業が36.9%、高度管理医療機器事業が33.0%、その他が0.2%であった(図表1)。
◆ 医療経営総合支援事業
医療経営総合支援事業では、経営難に陥っている病院とパートナーシップ契約等を結び、支援メニューを提供している。具体的な支援サービスとしては、地域で必要な病院として再生するための経営コンサルティング、病院が保有する不動産のセール&リースバックや診療報酬債権のファクタリング等の資金支援、病院業務のDX化の推進、医療資材・医療機器の調達支援、人材採用等の人事支援等の支援策が挙げられ、平均して10年程度の長期にわたって提供している。
24年9月時点でパートナーシップ契約等を結んだ医療法人(以下、提携医療法人)は24法人、経営支援を行っている病院は24病院となっている。支援対象は病床数が100~499床程度の中病院が多い。
図表2に具体的な支援業務とサービス提供会社を示した。①~⑧は同社が、事業承継・M&A支援は子会社のメディカル・アドバイザーズが、建築・構造物の企画設計は23年1月に設立した子会社のストラクトが各々担当している。
院内業務のDX化支援では、医療現場の生産性向上に寄与する各種デジタルソリューションを自社開発により提供している。ベッドサイド情報端末「ユカリアタッチ」は、電子カルテデータと連携した患者の状況や注意事項のイラスト表示、体温や血圧等のバイタル測定結果の読み取りや表示等を行い、医療従事者の業務の効率化や情報共有を促進するサービスで、提携医療法人以外の病院等にも提供している。
売上高の太宗は、提携医療法人向けであるが、提携医療法人以外の病院に対し、経営コンサルティングを中心に、上記の支援業務の中の一部業務を提供する外部コンサルティングも行っており、23/12期から本格展開している。
支援を必要とする医療法人の紹介は、融資を行っている地方銀行からが多い。23年12月時点で地方銀行99行中64行と連携し、40都道府県をカバーしている。
◆シニア関連事業
シニア関連事業は、子会社のあいらいふが担当する介護施設の入居相談・施設紹介サービスと、子会社のクラーチが担当する高齢者向け介護施設の運営からなる。
介護施設の入居相談・施設紹介サービスでは、首都圏を中心に入居相談員が行う対面サービスと、ネットで施設を検索して資料請求等ができる、ポータルサイト「さがしっくす」の2つのサービスを提供している。対面サービスでは同社が運営する施設も含め、全国9,000以上の施設の紹介を行っている。収益は、施設への入居が決まった際に介護施設から受け取る成功報酬である。「さがしっくす」の収益は、成功報酬と介護施設からの広告掲載収入である。
入居相談者に向けた在宅生活支援のための見守りや家事代行、施設入居に伴う不動産売却や引越し等のサービスを提供するトータルサポート事業も行っている。
介護施設の運営では、東京都、神奈川県、千葉県で「クラーチ」シリーズの12施設を運営している。
◆ 高度管理医療機器事業
高度管理医療機器事業は、子会社のシンシア(7782東証スタンダード)が、コンタクトレンズの製造・販売を行っている。主力ブランドの「シンシアSシリーズ」は、長時間の使用でも目の酸素不足を防ぎ、目への負担が少ないシリコーンハイドロゲル素材のクリアレンズであり、その他に複数のブランドを扱っている。
同社の連結子会社10社のうち、5社はシンシアの連結子会社である。コンタクトレンズの国内販売会社のカラコンワークス、ジェネリックコーポレーション、海外販売会社の新視野光學股份有限公司(台湾)、Sincere Vision Co.,Ltd.(香港)、リユース業界向けパッケージシステムの設計、開発、販売及び保守を行うタロシステムズである。タロシステムズは23年11月に子会社化し、24年3月に完全子会社化した。
◆ その他
その他では、医療法人から匿名加工された、治療経過を記述した電子カルテデータを取得し、100万件以上の治療経過のデータベースを保有している。このデータベースの解析により、治療や処方の実態を可視化等する等、製薬企業向けの営業活動支援サービスを行っている。