売れるネット広告社(9235)売れる仕組みを必要な10項目の入力だけで生成可能

2023/10/24

D2C事業者に特化しネット広告の費用対効果を改善
売れる仕組みを必要な10項目の入力だけで生成可能

業種:サービス業
アナリスト:髙木 伸行

◆ ネット広告の費用対効果を改善
売れるネット広告社(以下、同社)はD2C注1(ネット通販)事業者に特化し、ネット広告の費用対効果を改善し、クライアントの業績拡大に貢献している。クライアントには健康食品事業や化粧品事業を行っている会社が多く、23/7期末時点では169社のクライアントと取引がある。
ランディングページ注2やCRM注3などに関して最適化した仕組みを構築する「ネット広告/ランディングページ特化型クラウドサービス」を提供している。また、同サービスの基本サービスである「売れるD2Cつくーる」を利用しているクライアントにのみ、ランディングページへの集客を目的にインターネット上に広告を配信する「マーケティング支援サービス」を提供している。
23/7期の売上構成比はネット広告/ランディングページ特化型クラウドサービスが48.7%、マーケティンス支援サービスが51.2%であった(図表1)。

◆ ネット広告/ランディングページ特化型クラウドサービス
「売れるD2Cつくーる」を基本サービスとし、「売れるD2Cつくーる」を契約しているクライアントに対して「売れるネット広告でざいん」と「売れるネット広告こんさる」の提供も行っている。主なクライアントは健康食品や化粧品を取り扱うD2C(ネット通販)事業者である。
「売れるD2Cつくーる注4」は、同社がFusic(5256東証グロース)と共同開発したもので、11年9月にリリースされた。19年4月には開発スピードを上げることを目的に「売れるD2Cつくーる」事業を吸収し同社の単独事業とした。
22/7期のネット広告/ランディングページ特化型クラウドサービスのクライアント数とクライアント単価は前期に比べて減少している。21/7期に値引き販売を行いクライアント数が増加したが、質の面で同社が意図したクライアントの獲得につながらなかったため、値引きを停止したことが解約につながった。クライアント単価の低下は単価の高い「売れるネット広告でざいん」のスポット受注の減少によるものと推察される。23/7期に入り、両指標は改善している。

(1) 売れるD2Cつくーる
同社の「売れるD2Cつくーる」は「ランディングページ制作」、「申し込みフォーム」、「スマホとPCサ ーバー」、「フォローメール配信/フォローLINE®配信/フォローSMS®配信」まで、D2C(ネット通販)の広告に必要な機能をワンストップで提供しており、レスポンス獲得から購買までのフローを作成することができるクラウドサービスである。
「売れるD2Cつくーる」は専門的な知識がなくても、「商品名」、「商品カテゴリ」、「本商品画像」、「ビジネスモデル」、「本商品価格」、「本商品容量」、「モニター商品画像」、「モニター商品容量」、「ブランド名/ブランドロゴ」、「フォローメール差出人」の10 項目を入力することで簡単に「ランディングページ制作」から「フォローメール配信/フォローLINE®配信/フォローSMS®配信」までを実施することができるサービスである。
23/7 期末時点で169 社のクライアントと契約しているが、1 クライアントにつき、月額149,800 円で提供されている(年間契約、契約から2 カ月の無料期間がある)。「売れるD2C つくーる」はストック型であり、23/7 期の売上構成比は29.0%であった。
「売れるD2C つくーる」の最大の優位性は同社が実施した1,200 回以上のA/B テスト注5 の結果のうち5 社中4 社以上で費用対効果が改善した実績のある方法だけが実装されている点にある。全てのクライアントとA/B テストを行う契約を結んでおり、その結果は翌月にはテンプレートに反映される。A/B テストの結果は様々な商品やD2C 企業に横展開しても再現性があり、膨大なA/B テストから導き出されたノウハウが標準装備されていることから、クライアントは導入当初から低コストで簡単に高い費用対効果のネット広告を実施することができる。

(2) 売れるネット広告でざいん
クリエイティブの制作を行うサービスで、クライアントの商材に合わせた高いレスポンス率が見込めるランディングページの企画や制作チームの指揮・管理(ディレクション)、コーディング注6 作業、広告原稿のクリエイティブ制作を行っている。ランディングページ制作の場合には1 商材当たり98 万円以上の収入を得ている。23/7 期の「売れるネット広告でざいん」の売上構成比は14.1%であった。

(3) 売れるネット広告こんさる
専任のコンサルタントが、ネット広告活動全般の企画・ディレクション・相談、広告原稿の企画・ディレクション、LTV 注7 向上のためのCRM・企画を行っている。1 クライアントにつき月額50 万円の収入を得ており、23/7 期の売上構成比は5.5%であった。

◆ マーケティング支援サービス
マーケティング支援サービスは、クラウドサービスで制作されたランディングページに集客することを目的にインターネット上に広告を配信するサービスである。広告の出稿を行った後に改善点を分析し、「売れるD2C つくーる」で構築した仕組みを改善するところまでを一連のサービスとしているため、同サービスは「売れるD2C つくーる」のクライアントにのみ提供されている。
マーケティング支援サービスでは「最強の売れるメディアプラットフォーム」を提供しており、成果報酬型広告を中心としているが、純広告注8 の配信も可能である。23/7 期末時点で349 社の広告媒体に広告を配信している。
過去3 期間のマーケティング支援サービスの利用クライアント数は順調に増加している(図表3)。一方、クライアント単価は22/7 期に前期比20.5%低下した後、23/7 期には回復傾向にある。成果に応じた報酬と純広告による収入がマーケティング支援サービスの売上高となるが、23/7 期の売上構成比は51.2%であった。
なお、22/7 期より、同社の顧客へのサービス提供に関して、同社の役割が代理人に該当する取引については対価の総額から第三者に対する支払額を差し引いた純額で収益を認識する新収益認識基準に変更している。この変更で広告枠などの仕入額が売上高と売上原価から控除された結果、22/7期の同社の売上高と売上原価は従来基準に比べて1,345 百万円ずつ減少している。

>>続きはこちら(1MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。