フルハシEPO<9221> 建設副産物の処理受託、各種物流機器の製造販売も行う

2022/04/26

木質系廃材のリサイクル処理受託と木質リサイクルチップ販売が主力
建設副産物の処理受託、各種物流機器の製造販売も行う

業種: サービス業
アナリスト: 髙木 伸行

◆ 木質系廃材や建設系廃棄物のリサイクル処理や資源化を行う
フルハシEPO(以下、同社)とそのグループ会社は木質系廃材のリサイクル処理とその過程で発生する木質チップを燃料、または製紙用や建材用の原料製品として販売している。また、建設現場から生じる建設副産物の再資源化、リユース・リサイクルまで考慮した物流機器の製造・仕入・販売や中古物流機器の買取・販売などを行っている。

同社グループの事業セグメントはバイオマテリアル事業、資源循環事業、環境物流事業、及びその他に分類されている(図表1)。22/3期第3四半期累計期間では、バイオマテリアル事業が総売上高の70.0%、資源循環事業が18.1%、環境物流事業が9.4%を占めている。

◆ バイオマテリアル事業
バイオマテリアル事業として、木質系廃材の1)リサイクル処理受託、及び2)木質リサイクルチップ販売を行っている。同社と子会社のフィニティが選別、再資源化などのリサイクル処理受託を行っている。なお、フィニティは廃棄物の収集運搬業務も行っている。

1)リサイクル処理受託
家屋などの解体現場や住宅建設現場で排出される木質系廃材について、排出事業者からリサイクル処理を受託し、処理料を受け取っている。受け入れた木質系廃材は同社グループのリサイクル処理工場で破砕・切削などの処理を行い、木質リサイクルチップ製品として加工・製造している。

2)木質リサイクルチップ販売
リサイクル処理の過程で加工・製造された木質リサイクルチップ製品を販売している。塗料や接着剤などの付着物の少ない廃材から製造されたものは、紙・パルプ原料や木質ボード原料などの木質原料チップとして販売しており、その他のものはバイオマス発電所向けなどの石油代替燃料として販売している。

同社は木質リサイクルチップ製品の販売先の確保を目的として、複数の木質バイオマス発電事業へ参画している。住友共同電力(愛媛県新居浜市)及び住友林業(1911東証プライム)との合弁による川崎バイオマス発電への出資(出資比率13.0%)や川崎バイオマス発電が運営する発電所への木質リサイクルチップ供給を行うジャパンバイオエナジーへの出資(同20.0%)、中部電力グループのシーエナジーとの合弁によるCEPO半田バイオマス発電へ出資(同10.0%)している。

特に、19年10月に稼働を開始したCEPO半田バイオマス発電は同社グループの主要販売先として開示されている。発電所に隣接している同社の愛知第七工場は、発電所が必要とするチップの約2割を供給し、他の工場からの納入分も合わせて、21/3期の総売上高の14.8%、22/3期第3四半期累計期間の総売上高の8.7%をCEPO半田バイオマス発電向けが占めている。

◆ 資源循環事業
住宅建設現場などから排出される廃棄物のリサイクル処理を受託している。住宅メーカーなどを顧客とし、同社が建設現場から定期的に廃棄物を回収し、リサイクル工場で選別、再資源化などの中間処理業務を行っている。

廃棄物のうち木質系廃材については自社の処理工場で木質リサイクルチップ製品として再生し、販売している。木質リサイクルチップ製品以外についても、同社グループで再資源化できるものは資源として販売している。一方、同社グループで処理ができないものは、外部業者へ再資源化の二次処理委託や埋立処分などの最終処分業者への委託などにより、処理している。

◆ 環境物流事業
木製パレットなどの物流機器の製造・仕入・販売を行っている。国内では新品の物流機器の取り扱いに加えて、中古物流機器の販売・買取も行っている。国内では同社が、海外ではタイとベトナムの子会社が環境物流事業を行っている。

◆ その他
子会社が行っている事業がその他に含まれている。環境コンサルティング、施設・交通警備、人材派遣・紹介サービスを提供している。

◆ 事業モデルと収益構造
バイオマテリアル事業は、木質リサイクルチップ製品の販売量と建設廃棄物の処理受託量のバランスを取ることが重要となる。処理受託量が減少すると木質リサイクルチップ製品の供給量に影響を及ぼし売上高に影響する。また、供給量を確保するために木質リサイクルチップ製品を外部から調達するとコスト増になる可能性がある。また、販売量が減少すると処理受託を抑制することによる収益への影響や余剰木質リサイクルチップ保管のための費用が増加することになる。

建設会社、ハウスメーカーはリサイクル処理サービスの提供先となる。リサイクル処理の過程で製造された木質リサイクルチップ製品の販売先としては、バイオマス発電所、製紙会社、建材メーカーなどが挙げられる。基本的には、リサイクル品の販売先を確保することにより、受入量の拡大を図ることができる構図にある。また、リサイクル処理の主な対象となるものは戸建住宅の解体や新築にともなう廃棄物が多いため、都市部及びその近郊に拠点を構えることが重要となる。

21/3 期の売上原価率は58.9%である。売上原価明細書などが開示されていないため、推定となるが、売上原価の30%弱(売上比約17%)が労務費、約36%(同約21%)が工場設備の減価償却費やリース料といった製造経費、残りは商品仕入れなどの費用からなる。原材料についてはサービス利用者から無償で提供されるものが中心のため、原材料費は少額にとどまる。

販売費及び一般管理費(以下、販管費)は21/3 期の売上高の33.2%に相当する。販管費の約42%(売上比約14%)が人件費である。この他、運賃及び荷造費が約30%(同約10%)を占めている。運賃及び荷造費は廃棄物の回収やバイオマテリアル製品などの販売に関して発生する費用である。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。