アクシス<4012> 金融分野でのデジタルトランスフォーメーションの流れに乗る可能性に注目
金融分野の案件で豊富な実績を持つシステムインテグレーター
金融分野でのデジタルトランスフォーメーションの流れに乗る可能性に注目
業種: 情報・通信業
アナリスト:藤野 敬太
◆ 金融分野に強いシステムインテグレーター
アクシス(以下、同社)は金融分野を得意とするシステムインテグレーターで、主に金融機関や官公庁向けにアプリケーション開発や、インフラシステム構築、運用・保守サービスを行う。また、システム開発の調査・分析、要件定義、開発・テスト、運用・保守のすべての工程に対応することができ、分業体制により一部の工程に特化する同業他社とは一線を画している。
また、18年10月にリアルタイム車両運行管理システムの「KITARO」を事業譲受したことで、クラウドサービス事業にも参入している。
同社の事業は、システムインテグレーション事業とクラウドサービス事業の2つに分類される(図表1)。システムインテグレーション事業が全売上高の94%を占める主力サービスとなっている。クラウドサービス事業は、成長率は高いものの同社の事業になってからまだ日が浅いこともあり、売上構成比は6%に留まっている。
◆ システムインテグレーション事業
同社のシステムインテグレーション事業は金融分野が中心であり、19/12期のシステムインテグレーション事業の売上高の69.0%が金融分野からのものである。金融分野の内容をさらに細分化すると、為替・債券・株式・デリバティブ等の取引に関係する市場系システムが36.5%と最も多く、次いでトランザクションレンディングシステム等のその他金融系システムの26.2%である。業界全体として金融系システムで多いとされている勘定系システムは6.3%に留まっており、同社が市場系システムを得意としている状況がうかがえる(図表2)。
金融分野の市場系システムは、業務に直結するシステムであるため、金融業務への理解が必要である。また、求められる金融サービスや法規制の変化に応じて顧客企業の需要も変わる上、技術革新も速いため、勘定系システムに比べて、変化への対応が一層求められる。このように難易度の高い市場系システムを中心に、同社は金融分野での実績を積み上げてきた。
システムインテグレーションの案件に関わる場合、顧客企業と直接取引するケースと、別の一次請けとなるシステムインテグレーターを顧客として取引するケースがある。同社の場合、一次請け企業との取引となることが多い。実際、19/12期において、富士通(6702東証一部)、NTTデータ(9613東証一部)、日本ユニシス(8056 東証一部)の3 社及びそのグループ会社に対する
売上高の全体に占める割合は59.0%であるのに対し、三井住友フィナンシャルグループ(8316 東証一部)、あおぞら銀行(8304 東証一部)グループ、みずほフィナンシャルグループ(8411 東証一部)に対する売上高の割合は21.9%となっている。
◆ クラウドサービス事業
クラウドサービス事業は、18 年10 月にオークネット(3964 東証一部)からの事業譲受により始まった事業である。企業が所有する商用車(トラック、バス、ハイヤー、営業車、建機等)の位置情報や走行履歴等の車両データをリアルタイムで把握することを可能にする、フリートマネジメントサービス「KITARO」を提供している。
クラウドサービスとして提供されるため、車両ごとに月々の利用料を徴収するサブスクリプションモデルを採っており、継続的、安定的な売上を確保することができる。