ティアンドエス <4055> キオクシアの工場システムの運用や、先端技術関連サービスも手掛けている

2020/08/14

大手企業グループにシステム開発や関連サービスを提供する情報サービス会社
キオクシアの工場システムの運用や、先端技術関連サービスも手掛けている

業種: 情報・通信業
アナリスト: 大間知 淳

◆ 大手企業グループにシステム開発や関連サービスを提供している
ティアンドエス(以下、同社)は、16年11月、横浜市に所在していたテックジャパン(96年設立)とシナノシステムエンジニアリング(85年設立)の新設合併により誕生した。同社の代表取締役執行役員社長であり、筆頭株主でもある武川義浩氏は、テックジャパンの代表取締役社長を務めていた。

同社は、大手企業グループをターゲットとしてシステム開発や運用保守サービスを請負、または派遣形態で提供しており、実績と経験をベースとした持続的な成長を目指して経営を行っている。

同社は、様々なサービスを提供しているが、事業領域を「ソリューションカテゴリー」、「半導体カテゴリー」、「先端技術ソリューションカテゴリー」の3つのカテゴリーに区分している。19/11期におけるカテゴリー別の売上高構成比は、ソリューションカテゴリーが82.0%、半導体カテゴリーが13.2%、先端技術ソリューションカテゴリーが4.8%となっている(図表1)。

(1)ソリューションカテゴリー
ソリューションカテゴリーは、特定の産業領域に特化せず、様々な業種のユーザー企業をターゲットとして、請負(開発・運用保守)と派遣の形態でサービスを提供している。同カテゴリーにおける請負と派遣の売上高構成比は、概ね3:1となっている。

システム開発においては、コンサルティングから、システムの要件定義、設計、コーディング注1、テスト・検証まで全てのバリューチェーンに対応する人材を用意している。更に、システム開発後の運用や保守の作業に従事できる体制を整備しており、ワンストップ体制を構築している。

同カテゴリーの主要顧客としては、キオクシア(旧東芝メモリ)グループや、東芝アイエス・コンサルティング等の東芝(6502東証二部)グループ、日立ハイシステム21等の日立製作所(6501東証一部)グループ等、製造業の大手企業グループが挙げられる。

(2)半導体カテゴリー
半導体カテゴリーは、半導体工場に技術者を派遣し、工場内システムの運用や保守を行っている。同社の前身であるテックジャパンは、20年以上も前から同事業を手掛けている。

同社は、工場内システムの運用・保守サービスや、ITヘルプデスク等のITインフラの運用支援を担当しており、キオクシアグループ(NAND Flashメモリ工場)と東芝グループを主要顧客としている。

(3)先端技術ソリューションカテゴリー
先端技術ソリューションカテゴリーは、ネットワーク・画像認識・ハードウェア制御・メモリ高速化等の高度技術を駆使して、急成長が見込まれる産業領域(AI、ロボット、IoT、自動運転等)に対して、ソフトウェアの高機能化及び品質向上を実現するサービスを請負開発形態で提供している。

同カテゴリーでは、機械学習や画像処理・認識、統計処理等の高度ソフトウェア技術を有する技術者が必要であるため、博士号やそれに準ずる知識を有するソフトウェア技術者を積極的に採用している。同カテゴリーの主要顧客業種としては、自動車、デジタル家電等が挙げられる。

◆ 東芝、日立製作所、キオクシアの3グループへの依存度が高い
同社の主要顧客としては、東芝グループ、日立製作所グループ、キオクシアグループが挙げられる。19/11期の売上高上位3グループに対する依存度は76.7%と極めて高い(図表2)。

◆ 労働集約型のビジネスモデル
売上総利益率は、18/11期が24.0%、19/11期が27.5%であった。売上原価の9割以上は従業員に支払う労務費と協力会社(ソフトウェア開発会社や人材派遣会社)に支払う外注加工費であり、労働集約型のビジネスと言える。販売費及び一般管理費(以下、販管費)については、給料及び手当、役員報酬等の人件費が中心を占め、他では監査報酬や人員採用費等が含まれる支払手数料、研究開発費等が続いている。

なお、20年5月末の従業員数は264名(前期末比16名増)であるが、部門別の内訳は開示されていない。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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